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高校生・大学生

課題定め解決法模索 「総合的な探究」22年度から開始

「SSラボ」で、培養したカビを取り出す生徒=名古屋市中村区の名城大付属高で

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 主体的・対話的で深い学びは、高校でも求められている。二〇二二年度から実施される新学習指導要領は、「総合的な学習の時間」に代わり、「総合的な探究の時間」を設けるよう定めている。探究とは、自ら課題を見つけ、解決すること。どんな授業なのか、先行する学校を訪ねた。

 真剣な表情で、チーズのような固まりを切る生徒や、ピンセットを手に培養液から何かを取り出す生徒。名城大付属高校(名古屋市中村区)の生物室では、国公立大などの理系進学を目指すスーパーサイエンス(SS)クラスの二、三年生が、「SSラボ」の授業でそれぞれの研究を進めていた。

 生徒が自分の研究テーマを決め、仮説を立て、実験・観察を繰り返して結果をまとめ、発表する授業。教員は相談には乗るが、基本的に口出ししない。週一回二こま、二、三年で計四単位あり、うち二単位分は総合的な学習の時間を充てている。

 大麦を使い、虫に寄生するキノコ「冬虫夏草」を人工培養する実験をしていた三年の伊藤真奈さんは「こういう授業は中学にはなかった。分からない時は先生に相談したり自分で調べたりする。人前で話すのは得意じゃなかったけど、発表もあるので話せるようになった」と話す。コウジカビの質量を測っていた三年の浅井優子さんは「常に答えを模索している感じ。答えは先生も一緒に考える。そういうところも、おもしろい」

 同高は、科学分野の人材育成を目指す文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定された〇六年度から、生徒の探究力や問題解決能力の養成を掲げ、SSラボのような独自のカリキュラムを実施。〇三年に設けた、海外の大学などを目指す国際クラスでも「課題探究型学習」に力を入れ、海外でフィールドワークも行う。

 同高教育開発部長の羽石優子教諭(45)は「どんな状況でも一個人として戦える資質をつけてもらいたい。トライアンドエラーを重ねることで失敗が怖くなくなる。チャンスは一歩を踏み出さないと巡ってこない」と狙いを話す。副部長の吉川靖浩教諭(41)は「実験などはイメージ通りにはいかず、座学では分からないことが多い。繰り返しが成長、自信に結び付く。生徒が目の前で変わる瞬間がある」と実感する。

 探究の授業は、理系も文系も対象だ。どの高校でもすぐにできるだろうか。

「きき耳」を判定するため、脳の血流量を測定する生徒=名古屋市中村区の名城大付属高で

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 理系、文系ともに全生徒が探究活動に参加している名古屋大教育学部付属中学・高校(同市千種区)の石川久美教諭は、「まずは、通常の授業で少し時間を取り、生徒たちに自分の意見や考えをまとめてもらうことが足掛かりになる」と言う。例えば理科で原子力を学習した後、生徒が賛成か反対かを根拠を示して発表する。「答えが一つにならない課題に取り組むことが、多様なテーマを指導する基礎になる」と助言する。

 「探究の授業では、生徒からさまざまな『解』が出てくる。どう評価するか、先生の力が求められる。『分からないから自分でやって』では、生徒も興味を失ってしまう。先生たちもいろんなことに興味を持ち、生徒の定型でない姿勢を受け入れることが大事」と指導に当たる心構えを話した。

 (大沢悠)

 <学習指導要領の改定> およそ10年に1度改定される。高校では1989年に家庭科の男女必修化、99年に総合的な学習の時間が導入された。2018年の改定では「総合的な学習の時間」に代わり、生き方やキャリア形成と関連づけた課題を探り、解決する能力を育てる「総合的な探究の時間」が設けられた。各教科・科目をより深く理解するための「古典探究」や「地理探究」なども新設される。

 

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