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高校生・大学生

大学中退者の就職後押し 人材紹介業が専門研修 

大学中退者の就職を支援するセカンドカレッジの研修=東京都豊島区で

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 年度末は大学を中途退学(中退)する人が多くなる時期だ。留年や経済的事情など原因はさまざまで、その数は年間八万人とされる。中には苦い経験を通し、自分を見つめて次のステップに踏み出す人もいる。全国でも珍しい中退者の就職を専門に支援するサービス「セカンドカレッジ」の研修をのぞいた。

 二月半ば、東京都内のビル。リクルートスーツ姿の二十〜二十七歳の男女二十三人が二人一組になり、就活生と人事担当役に分かれ、面接の練習をしていた。

 「あなたが大学を辞めた理由はなんですか?」

 「留年です。出席が足りず単位も足りず、朝も起きられなくなりました」

 「会社で嫌なことがあったら、また辞めない?」

 「嫌なことから逃げ続けてきた自分を後悔しています。信頼される社会人になりたいと思っています」

 大きな声、真剣なまなざし。身ぶり手ぶりを交えて語る言葉があちこちから聞こえる。「必ず聞かれる質問。もう途中で投げ出さない、なぜならこうだからと、思いや理由を簡潔に伝えて」。講師のアドバイスに皆がうなずく。

 セカンドカレッジは人材紹介業「ジェイック」(東京都千代田区)が二〇一七年夏に東京で始めた。もともと中小企業の社員教育やハローワークの就職セミナーに関わり、若手を採りたい企業側と就職したい若者をマッチングしようと、十四年前にフリーターや中退者らの就職サポートを開始。中小を中心に三千七百社の採用実績がある。

 七日間の研修は、中退の体験を語り合う時間から始まり、ビジネスマナー講習や飛び込み営業実習の後、面接対策もして、「やりきる力」の強化を図る。研修後は約二十社との集団面接会も。昨年末までに三百六十五人が受講し、三百十七人が修了。うち82%にあたる二百六十人が就職を決めた。入社後も一年間はフォローする。費用は企業側が担うため、受講は無料だ。

 中退者が悩みや就活について相談できる場所は少ない。講師で責任者の小久保友寛さん(36)は「大学を中退し、人生が終わったと思い詰めていた人もいるが、ここでは自分以外の中退者とも知り合い、安心して本音が話せるようだ」と語る。

 受講者の約六割が、入学後四年目以降に中退。その理由はさまざまだ。家計が苦しく学費を稼ぐためのバイトと勉強を両立できなくなった人、授業が難しくて単位が取れずに留年した理系の学生、入学後の友人づくりに失敗して大学に行かなくなった人も。

 この日受講していた三塚詠(うた)さん(20)は宮城県出身。第三志望の東京の私立大に入ったが、バイトにのめり込み行かなくなった。単位が足りずに奨学金を打ち切られ、学費が払えず辞めた。就職したいと思った時にセカンドカレッジを知った。「中退したからこそ、この道を選べたと言えるようになりたい」ときっぱり。早稲田大を中退後、フリーターで塾講師をしている男性(25)は「十、二十年後の人生を考えると、このままでは良くない、変わりたいと思った。社会で活躍し、幸せをつかみたい」。二人とも三月初めに就職を決めた。

 日本大を辞め、ジェイック名古屋支店で同様の研修を受け、昨年五月に営業職に就いた名古屋市の会社員池内健太さん(24)は「当時は甘えもあり部活と勉強が両立できなかった。大学を卒業できなかった分、就職してからは、やってやるぞという気持ちで働いている」と充実の表情を見せた。

 文部科学省によると、一二年度の中退者は約七万九千人で、全学生数の2・65%。小久保さんは中退者に呼び掛ける。「一度失敗したからこそ、中退者はチャンスを得た時には新卒よりも強いと思う。変わろうと一歩踏み出す勇気と実行力を持って」

 (芦原千晶)

 

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