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高校生・大学生

「柔軟な社会をともに」 自閉症シンポに福祉めざす高校生ら参加

シンポジウムに参加した高校生らの質問に答える垣内章伸さん(左)や楽守さん(左から3人目)ら=名古屋市内で

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 「あなたが知ってる障がいってなに?」。自閉症の子どもを持つ家族らによる同題のシンポジウムが十月、名古屋市内であった。家族連れら関係者に交じり、福祉や教育の道を志す高校生、大学生も参加。率直な質問を投げかけて当事者や家族らと対話し、自らの進む道を考える学生もいた。

 「お子さんが自閉症と診断された時、どう思いましたか」

 「二人とも自閉症と言われた時は『まじかよ』と。頭が真っ白になった。『何か悪いことしたかな』と自分を責めた」

 シンポジウムのフリートークで、椙山女学園大(名古屋市)の学生の質問に、垣内志ほみさん(53)=三重県松阪市=が率直な気持ちを明かした。長男の楽守(らも)さん(24)と次男の詞音(しおん)さん(21)は自閉症。夫の章伸さん(55)と楽守さんは音楽ユニット「RAMO」を組んで積極的に外に出ている。

 「子育てをがむしゃらにやってきて覚えていないこともあるけど、笑える時が来る」。志ほみさんの前向きな言葉に、会場は引き込まれた。

 シンポジウムは、垣内さん家族を十年間取材し「イマイキテル 自閉症兄弟の物語」(明石書店)にまとめたスロバキア在住のフリーライター増田幸弘さん(55)らが、RAMOと音楽仲間の野呂明音さん(34)=松阪市=が演奏する場を設けようと企画された。

 ライブもあり、章伸さんが作ったオリジナル曲を披露し、楽守さんがスリットドラムやカホンを担当。曲の間には、楽守さんが「お父さん、ちょっと話長くなっているよ」と注意し、そのたくまぬユーモアが笑いを誘う場面もあった。

 自閉症とは、どんな障害か。脳神経内科専門医の丸山俊一郎さんが「脳の機能障害といわれているが、医学的にはほとんど何も分かっていない」と説明。「多動」や「コミュニケーションが苦手」などと特性が挙げられることが多いが、本人の性格などもあり一概にいうのは難しいとした。

 参加した高校生の一人は、自身が、対人関係の困難さなどを抱えるアスペルガー症候群と診断されたと明かした。「中学の時は『普通の人と同じようになりたい』と思っていたが、いっそのこと変人になってしまおうと思った」と自身の考えを述べた。

 高校二年の久冨木楓さん(17)は、自閉症の妹(13)の個性を見つける方法を尋ねた。妹は重度の知的障害があり特別支援学校に通っているが、トイレに一人で行けないなど日常生活に差し支えがある。「妹と一緒に出かけると、周りから冷たい目で見られると感じる。障害を身近に感じていない人が多い。特に同世代の中高生はふざけて『障害者』という言葉を使うことがある」

 登壇者の一人で、自閉症の息子を持つ都竹淳也・岐阜県飛騨市長は「どんな子にも『こんなことがしたい』という意志がある。その子に合わせたオーダーメードの社会がつくれるかどうか」と、社会の側が柔軟に対応していくよう提案した。また、障害児らの人権を尊重した福祉活動で知られる故糸賀一雄さんの言葉「自覚者が責任者」を紹介。気付いた人が、行動すべきだと促した。

 「言葉に共感した。妹がいる自分にしかできないことをしたい」と久冨木さん。特別支援学校の教員になって「地域の人と生徒が交流できるようにしたい」と目標も語った。「地域の人たちに障害がある人を身近に感じてもらえれば、差別や偏見が少なくなっていくと思う」

 (大沢悠)

 

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