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滋賀・呼吸器事件 再審確定

調書作文か 西山さん告白「60まで数えられない」

西山美香さんが1分を数えた、と語ったように書かれた検察官面前調書

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 近く再審が始まる滋賀県の呼吸器事件で、事件当時に作成された供述調書で、看護助手(当時)の西山美香さん(39)が消音ボタンで人工呼吸器のアラーム(警報)音が作動しなくなる一分間を「数えた」ことにされたのは、刑事と検察官による作り話の可能性が高いことが分かった。西山さんが「私は六十まで数えられない」と本紙と弁護団に告白した。

 一分を数えた、という供述は、再審開始を決定した大阪高裁(二〇一七年十二月)が「誘導の疑いがある」と指摘したが、弁護団長の井戸謙一弁護士は「数えられないのに数えたことにしたのは、捜査当局による作り話でしかない。明白な違法性があり、誘導とは次元が違う話だ」と指摘。再審の法廷で真相を追及する。

西山さんから本紙記者にあてた通信アプリのメッセージ=一部画像処理

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 西山さんは「私は頭の中では、二十までしか数えられません。絶対自分からは、言っていません。裁判でも、きちんと言います」と証言。大きな数を暗唱できない自分の特性について、「将来、もし再就職の必要がある時に、仕事が見つからないと困る」と秘密にしてきたが、弁護団の方針に納得し、公表を決意した。西山さんは収監中の一七年四月に本紙と弁護団が協力して実施した精神鑑定で、軽度知的障害と発達障害が判明している。

 〇三年に起きた事件では、患者=当時(72)=の死亡発見者で業務上過失致死罪を追及されていた同僚看護師をかばおうと、西山さんが「私が呼吸器の管を外した」とうその自白をしたため〇四年、滋賀県警が殺人容疑で逮捕。しかし、管が外れた際に鳴るアラームが鳴らなかったため、県警は逮捕後、病院の技師に「誰にも気づかれずに患者を窒息死させる方法」を聞き出した。

 技師は、アラームの無効期間(一分)は、一分経過する前にもう一度消音ボタンを押すとさらに一分延長できる機能を説明。県警、大津地検とも、西山さんがその機能を利用して犯行を行ったかのように供述調書を作成した。

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 一七年十二月に再審開始を決定した大阪高裁は、アラーム無効期間の延長機能について、医療現場で使わない特殊な機能を「なぜ事前に知り得たかが不可解」「知らなかった場合は数を数えて一分の経過を計る理由が見当たらない」と指摘。「警察官または検察官もしくは、その両者の誘導」の可能性を認定した。

 検察官面前調書を作成した早川幸延検事(現福島地検検事正)は本紙の取材申し入れに地検広報を通じ「コメントはできません」と回答した。

 <呼吸器事件> 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、植物状態の男性患者(72)が死亡。翌年、県警は人工呼吸器の管を外したと自白した看護助手西山美香さんを殺人容疑で逮捕。西山さんは公判で否認したが一審で懲役12年の判決を受け07年に最高裁で確定。17年に満期出所し同年、大阪高裁が再審開始決定。ことし3月、最高裁が検察の特別抗告を棄却し、再審が決まった。

 

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