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舌はないけど

(43)口腔ケア 虫歯になると治療大変

岐阜県歯科医師会で、がん患者の口腔ケアについて理事と対談

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 先日、岐阜県歯科医師会の役員の方と対談をする機会がありました。嚥下(えんげ)機能や歯の手入れなどについてたくさんの質問を受け「歯科医師の方たちも、口腔(こうくう)がんに関心を持ってくださっているんだ」と、うれしく思いました。

 私のように舌を切除したがん患者にとって、口腔ケアは大変な問題です。

 口の中の感覚がなく、唾液をよく誤嚥してむせたりします。口腔内をきれいにしておかないと、唾液と一緒にばい菌が入り、誤嚥性肺炎を発症する恐れもあります。手術した影響で、口を大きく開けることが難しく、虫歯が見つかったりすると治療は大変です。通常、歯科では椅子を倒して、あおむけの状態で治療を受けますが、舌がない私は口の中に水をためることができず、むせてしまうため不可能です。放射線を当てた部分は傷の治りが悪くなるのですが、私は歯や歯茎にも放射線を照射したため、もし歯が抜けると穴がふさがらずに骨髄炎を起こす可能性もあります。

 幸い、私は小さいときから歯が丈夫で虫歯がなかったため、今まで大きな問題はありませんでしたが、外出先にも歯ブラシ、狭い部分にも毛先が届くワンタフトブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスを持ち歩いて、懸命にケアしています。

 手術後五年を経て、下の前歯がだんだん内側に傾いてきました。移植した皮弁が収縮し、口腔の形状も少しずつ変化しています。私がずっと通っている愛知学院大歯学部付属病院(名古屋市千種区)で、状況に応じた歯磨きのこつなどを指導してもらっています。もちろん治療中も椅子は倒さないまま。抗がん剤の副作用もよく理解し、初めて使うケア用品も「荒井さんなら大丈夫」とやさしく励ましていただけるので、安心して通っています。

 手術で入院していた時、先輩患者さんから「いい歯科を見つけておくほうがいいよ」とアドバイスを受けました。私は運良くすぐに見つけることができましたが、患者仲間の間では、虫歯の治療を受けようとしたら「うちでは診られない」と断られたといった例を、時々聞きます。

 患者が長く地域生活を送れるよう、がん治療に理解のある歯科が増えてほしいものです。歯科医師会の取り組みに期待しています。(荒井里奈)

 

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