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舌はないけど

(38)対談やラジオ出演 発音のリハビリに奮起

トークショーを終えて矢野きよ実さん(右)と=愛知県体育館で

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 この連載を基にした「舌はないけど がんと生きる」(中日新聞社刊)を出版してから、対談の機会が増えました。舌がなくて、発音できない音がある私にとっては、新たな挑戦です。講演なら話の内容をスクリーンに映すパワーポイントが頼もしい助っ人ですが、対談となるとそうはいきません。

 先月二十九日、愛知県体育館で開催中の「やきものワールド」(中日新聞社など主催、四日まで)で、タレントの矢野きよ実さんとのトークショーがありました。陶磁器を楽しみに訪れるお客さんたちに、がんの話題は受けるだろうかと不安でしたが、立ち見の方もいらっしゃって感激しました。がん経験者でもある矢野さんと、全身麻酔の体験を語り合ったり、病室に付き添ってくれる家族を時にわずらわしく思った体験など「そうそう!」と話が弾みました。矢野さんは、場を盛り上げつつ、私の話を要約しながら次の質問につなげてくれて助けられました。

 先月初めには、東海ラジオの「きくち教児の楽気!DAY」でインタビューを受けました。二十三日にオンエアされた放送の録音です。

 ラジオとなると、身ぶり手ぶりや表情も伝わらないし、筆談もできない。電話と同じぐらいハードルが高いのですが、インタビュアーのきくちさんは、以前からがん経験者の生きざまに関心を寄せ、私の講演会にも来てくださっていたので安心してお任せしました。

 「字幕スーパーつけてね」「ラジオだっちゅうの」などと冗談を交わしながら楽しくおしゃべりできたのですが、放送を聞くと「みんなよくこれで分かってくれるなー」と率直に思いました。やはり、きくちさんの的確なフォローがあったから、多少聞き取りづらくてもリスナーの方々に伝わったのだと思います。最後に私の好きな安室奈美恵さんの「Fight Together」を流していただき、感激しました。

 こうした体験を経て、皆さんに改めてお願いがあります。私と会ったとき、話がわからなければ、遠慮なく聞き返してほしいのです。そうすると、この言葉は聞き取りにくいと分かり、他の言葉に置き換えたり、発音のリハビリに頑張る動機になります。「えっ、今なんて言ったの?」と聞かれたら、私はとてもうれしいのです。

    ◇

 荒井里奈 1974年生まれ。岐阜県在住。2015年に腺様嚢胞(のうほう)がん(ACC)で舌を切除。闘病とリハビリを続けている。

 

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