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舌はないけど

(37)分子標的薬 新治療に希望持ち挑戦

肺に多発転移したがんの治療に、分子標的薬の服用を始めました

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 この連載を基にした「舌はないけど がんと生きる」(中日新聞社)が、一日に発売になりました。多くの方から熱い感想をいただき、感激しています。本当にありがとうございます。病気の方も、病気じゃない方も読んで何かを感じていただけたらうれしいです。

 私は今月から、新たに分子標的薬の治療を始めました。様子を見ていた肺の多発転移は、無症状とはいえ徐々に大きくなっており、薬物療法科の先生が薬を勧めてくださいました。甲状腺がんに使う「レンビマ」という分子標的薬で、私の腺様嚢胞がんには適用外ですが、国内の治験や米国の学会で、好成績が報告されており、愛知県がんセンターで手続きをすれば、保険で治療を受けられるとのことです。

 お話を聞いてから二カ月間、悩みました。本当に効果があるだろうか。やるにしても、その時期は今なんだろうかと…。十月八日付のこの欄で紹介した遺伝子パネル検査を受け、その結果を見て考えることにしました。何か異常が見つかり、有効な治療につながればそちらを優先するつもりでしたが、異常なし。それでレンビマの治療リスクも含めて、先生と再度お話をしました。

 薬の副作用の一つは「出血」。がんが縮小するときに、そばの血管が破れてしまうと血が止まらなくなる恐れがあるのですが、私のがんは大きな血管から離れていて、そのリスクが低いこと、治療に耐えられる体力のあることが、決断の決め手になりました。

 点滴ではなく飲み薬なので家で服用できるのですが、カプセルなのが大きなハードル。嚥下(えんげ)障害のある私は、カプセルがのどにはりついて、うまく飲み込めず、誤嚥(ごえん)の危険性もあります。先生と相談して、お薬を水で溶いて容器に入れ、胃ろうで入れることにしました。口からうまく食べられなかった時期の栄養補給のために作った胃ろう。また役に立ってくれました。

 この薬の代表的な副作用は高血圧なのですが、私はふだんの血圧が低いこともあって、服用開始六日目の現在は、降圧剤で抑えられる範囲です。

 「また、治療を始めることになりました」と告げると「えぇ!」と残念そうな声を上げる方もいますが、希少がんの私にとっては、治療手段があるのは大きな喜び。希望と期待を持ち、楽しくチャレンジしていこうと思っています。(荒井里奈)

 

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