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舌はないけど

(32)初めての学会 新しい医療づくり共に

 医学の学会って、難しくて堅苦しい印象を持つ方が多いと思います。私も以前はそうでした。でも先日、京都で開催された日本臨床腫瘍学会の学術集会に初参加して「学会って、こんなに楽しいんだ」とイメージが変わりました。

学会でポスター展示を前に=京都市で

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 がん関係では、患者の参加を積極的に受け入れる学会が増加。充実したプログラムに加え、発表の機会がある患者の交通費を補助したり、当事者団体のパネル展示場所を提供したりといった取り組みが広がっています。

 今回は、各地の仲間が集まったので、みんなに会うだけでもテンションが上がったし、「がんゲノム診療元年」というテーマでの多くの発表も興味深い内容でした。

その中で、一部の肺がんに有効な分子標的薬が、日本で六月に新薬として承認されたという報告がありました。それを聞いて「あっ、あの時の薬だ」とびっくりしました。

 去年の一月。愛知県がんセンターで「新薬の国際共同試験があるから、参加してみないか」と言われ、薬物療法部の先生と治験コーディネーターの方から、詳しい説明を受けました。がん遺伝子の型が適合するかどうか分からないけれど、とても注目されている薬だという話でした。私は無症状だけど肺に多発転移があるので「ひょっとしたら効くかも」と思い、まずは遺伝子検査に対する同意書にサインしました。そして、以前の手術で切り取ったがん組織をアメリカに送って検査した結果、適合せず、残念ながら治験に参加できませんでした。その薬が、治験で高い有効性が認められ、優先的に審査されて早期承認となったと知って、わがことのようにうれしくなりました。

 隣席に座っていた患者団体の仲間に「私、この治験にかかわったんです。こうやって、新しい薬や治療が確立されていくんですね」と話しながら、何だか感動して、ポロポロ泣いてしまいました。

 私は希少がんで、有効な薬がないといわれているので、新しい薬や治療法が開発されることは希望の光です。そしてその過程に患者として参加する意義を強く感じました。この学会に参加して、助かる命を助けるために、医療者が熱心に取り組んでいることも感じられたし、医療者、患者が協働で新しい医療をつくっていくことをあらためて実感できました。(荒井里奈)

 

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