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舌はないけど

(30)体験を語る意味 社会の理解高めたい

「がんになっても人生は続く」をテーマにしたイベントのポスター

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 「こんなイベントをやるんです」−。このところ、岐阜県高山市周辺の病院、薬局、商店街などを、チラシやポスターを手に回っています。

 私の所属する飛騨高山がんサークル「Owls(オウルズ)」が十三日午後一時半から高山市民文化会館で開くイベントに、一人でも多くの方に来ていただきたいと呼びかけているのです。

 主役は、東京在住の三十代のがん患者・岸田徹さん。二十代で二回、がんを告知され、闘病しながら、患者にインタビューしてネット配信するサイト「がんノート」を開設。百人以上の体験や思いを広く伝えています。この日は「がんが僕に教えてくれたこと」の演題で講演していただきます。私も二年ほど前に知り合い、岸田さんの前向きさ、明るさにとても刺激を受けました。

 その後のパネル討論では、富山県の看護師でがん患者の樋口麻衣子さんに登場していただきます。医療者が患者になって、どんな気づきがあったか。お話がとても楽しみです。そして、乳がん患者の三井祐子・Owls代表、私の連載の担当者である中日新聞編集委員の安藤明夫さんも参加して「がんになっても人生は続く」をテーマに討議します。

 この会を企画したのは、がん患者が体験をオープンに語れる雰囲気を作っていきたいから。がんに対する意識には地域差があって、地方の患者会に行くと「病気を職場や周囲に隠している」という話をしばしば聞きます。就活の面接でがん体験者であることを告げたら「じゃ、いつ再発するか分からないね」と言われ傷ついたという話も聞きました。

 医療が進歩し、治療を終えて経過観察中の人はたくさんいます。再発や転移があっても、治療方法はさまざまだし、仕事と両立できる方法もいろいろあります。でも、周囲が昔のイメージのまま「もうすぐ死んじゃうんだ」「かわいそう」とか「どう接していいかわからない」と敬遠するようだと、人生を有意義に過ごしたいと望む患者の思いが、なかなか受け入れてもらえません。だからこそ、患者自身が語り、社会の理解を高めていくことが、これからの患者会の目指す方向だと思うのです。

 二人に一人ががんになる時代。その時に慌てないためにも、私たちの生の声を聴いていただけばと思っています。

 

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