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舌はないけど

(27)日々の訓練 周囲の笑顔で頑張れる

肩甲骨の柔軟性を保つストレッチは毎朝の日課

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 私は、四年前の手術の後遺症で、首、胸元、ほお、舌、耳の周囲、後頭部などにしびれ、まひがあります。無意識に首などを触ったりすると、しびれが痛みに変わり「ひえー」となってしまいます。

 こうした中で、体の機能を回復させ、維持していくためには継続的なリハビリが欠かせません。

 あごの骨や筋肉を切除した手術痕がある首は、朝起きると必ずこわばっています。まず深呼吸。そして首を横、後方、下などの角度に動かします。寒い冬場はこわばりがきついので、シャワーで温めてからストレッチです。手術後、まったく動かなかった首は、今でも上を向くことは難しいけれど、かなり可動域が広がってきました。

 次に腕を上げたり、伸ばしたり、両手を肩に当てて、ひじを肩より高くしてからぐるぐる回したりします。けっこう痛くて大変です。でも、首の筋力や肩甲骨の柔軟性は、のみ込む力と密接な関係があり、一日でもリハビリをサボると、嚥下(えんげ)機能の低下を自覚するので、手抜きできません。

 唇やほおのしびれは、手術後、口の中に指を入れてマッサージするうち、少しずつ動くようになりました。今もほおのマッサージは、時間のある時に続けています。唇の訓練は、よくしゃべり、笑い、歌うこと。これが劇的な効果がありました。発声練習も日課です。

 術後一年ほどは、鼻のチューブや胃ろうから栄養剤を入れるのが私の食事でした。口から食べる練習も最初のころは、喉の奥にチューブを差し込んでシリンジで流動食を流し込むので精いっぱいでした。のみ込むのではなく「重力によって垂れ流す」感じでした。誤嚥(ごえん)に気を付けながら慎重に行う必要があり、十分もやるとぐったり疲れました。そこから食べる力、話す力を取り戻していけたのは、継続的なリハビリの力です。

 振り返ってみると、私の場合は「喜んでくれる人たち」の存在が大きかったように思います。

 私が口から食べる姿を見て、家族や親友、職場の方たちが大喜びしてくれました。

 毎月一回、嚥下リハビリに通う愛知学院大歯学部付属病院(名古屋市千種区)の渡辺哲先生は、私が「牛モツ煮を食べたよ」とか近況報告するたびに「すごいもの食べたねー」と驚いて、笑ってくださる。それがうれしくて、リハビリを頑張れた気がします。(荒井里奈)

 

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