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舌はないけど

(26)オーダーメード治療 医師と考え、自分で選ぶ

愛知県がんセンター前で。治療見送りの判断も、私にとっては前向きな選択

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 十六日付の中日新聞朝刊に載った、ステージ4のがん患者さん三人による座談会。とても深い内容でした。闘病仲間の渡辺さゆりさん、年下の友人・加藤那津さん、いつかお話ししてみたい都築修さんの笑顔と満開の桜の写真、とても輝いていました。「病気や障害があっても、自分らしく生きられる」というメッセージが、多くの方に伝わればと思います。

 私も元気にしていますが、ステージ4の患者です。二月に愛知県がんセンターでコンピューター断層撮影(CT)検査を受け、肺の腫瘍が大きくなっていると言われました。昨年五月に抗がん剤治療を始め、海綿静脈洞(目の後ろの部分)や脊髄の神経への転移はほぼ消滅。肺への多発転移も縮小したのですが、治療終了から三カ月を経て、元の大きさに戻ってしまったのです。

 薬物療法科の医師は、腺様嚢胞がん(ACC)は希少がんで、標準治療がないことを前置きし(1)タキサン系の抗がん剤(微小管に作用し、がんの細胞分裂を阻害)、(2)抗がん剤5−FUまたは、TS−1(がん細胞分裂のDNA合成などを阻害)、(3)セツキシマブ(分子標的薬)、(4)オプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤)−の四つの選択肢を示してくれました。

 このうち(1)は、手足がしびれる副作用があり、昨年の治療でも手の痛みが出たので除外。(3)は症例数が少なく、効果が不明。(4)は周りのACC患者で効いた人はいない。(2)は副作用も少なく、試す価値はあるが、効果はがんの増大を抑える程度。いったん始めれば、終わりのない治療になる。

 いろいろ考え「治療をするなら(2)を選ぶ。でも症状がなく、生活に支障がない今は、まだ無治療でいけると思う。終わりのない治療になるなら、始める時期を考えたい」と、頭頸部(とうけいぶ)外科の主治医、放射線治療部、薬物療法科の医師にそれぞれ伝えました。ACCは肺に転移しても症状が出にくいという不思議な特徴があることも判断材料になりました。医師も賛成してくれて、当面は無治療で、肺などを注意深く検査していくことにしました。

 ACCは専門的に研究している先生がいないから、分からないことばかり。その分、一緒に考え、自分で選択をすることができます。薬の組み合わせなど、知らなかったことを知るのは、とてもおもしろい体験です。まさに「オーダーメードの治療だ」と思えるのです。(荒井里奈)

 

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