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舌はないけど

(24)口から食べたい おいしさは生きる喜び

 私たち頭頸部(とうけいぶ)のがん患者は、口の中や周囲のさまざまな部分を切除するなどして、食べることに多くの悩みを抱えています。それは、胃を切除した患者さんも同様です。先月、東京でスキルス胃がんの患者・家族会「希望の会」などが「食べることを考える」をテーマにセミナーを開き、私たちと一緒に話し合いました。

セミナーで。左から私、浜田さん、清水さん、轟さん=東京都中央区で

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 とても勉強になったのは、岡山県の金田病院副院長の三村卓司先生のお話。胃を切除した方に向けた「おかゆをぐるぐるかき回すと、のり状になって食べにくい」「筋肉量を減らさないように、タンパク質を取る工夫を」などのアドバイスに、自分の体験と重ねて深くうなずきました。

 希望の会理事長の轟浩美さんは、スキルス胃がんだった夫の遺志を継いで、熱心に活動されている方です。この病気では、胃を切除した夫のために妻が栄養のある料理を懸命に作り、夫も思いに応えようと頑張るけど食べられない、といったジレンマがよくあるそうで、そんな家族のご苦労を話していただきました。

 私たち腺様嚢胞(せんようのうほう)がんの患者会「TEAM ACC」のリーダー浜田勲さんは、耳下腺にできたがんを切除する大手術を受け「一生ミキサー食になる」と宣告されたけれど、入院中に好きなスナックをかじってみて、少しずつ食べられるようになったとか。何ごとも挑戦です。

 頭頸部がん患者と家族の会・Nicottoの会長清水敏明さんは、数回の再建手術やインプラント治療によって嚥下(えんげ)機能を取り戻した壮絶な経験の持ち主。抗がん剤の副作用と闘いながら、体重を増やすために懸命に励んだことを話されました。

 私も抗がん剤治療中に味覚異常を体験し、カレーライスやマーボー豆腐などを好んで食べていました。一般的に刺激物は、避けるべきですが、何を食べるかよりも第一に「口から食べられるようになること」が重要です。「おいしい」と感じて食べることは、生きている喜び。苦しいリハビリを経てそれを成し遂げたことが大きな自信になっています。

 

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