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【元記者の心身カルテ45】 科学では解けない時も

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 大阪万博から半世紀、つくば科学万博から三十五年。昭和は人類の英知と科学に未来を託せる時代だった。医学も科学の一分野とされるが、数字や理論だけでは理解できない時が心療内科にはある。

 繊維業を営む七十代男性。七年前、不整脈でペースメーカーを装着してからちょっとした電磁波で調子が狂った。内科では異常がなく、翌年当院を受診。食事どきにテレビのスイッチを入れると箸を持つ手がピクつき、IH炊飯器に近づくと足が腫れた。漢方が多少効いたぐらい。劇的に改善したのは隣家の工場で使うモーターが止まった時。「ビリビリ感が無くなった。電磁波防止用の帽子をかぶらなくてもよくてうれしい」

 同じく七十代の女性。めまいが電磁波からくると訴える。「電子レンジを使うと苦しくなるので、蒸し器を使っている」。若いころから知覚過敏はあったが、認知症や明らかな精神疾患はない。めまいの薬で、だましだましの治療が続く。二人のように症状を訴える患者はいるが、電磁波が体に影響するという医学的な根拠はない。

 新聞記者時代、つくば科学万博で鉄腕アトム関連の催しを取材した。その際、原作を描いた手塚治虫さんが「アトムのアニメ化は科学万能の面だけが強調され、失敗だったかな」と話したことが記憶に残る。「ラララ科学」では解けない時もある。(心療内科医 小出将則)

 

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