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【元記者の心身カルテ42】同じ遺伝子ゆえの悩み

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 今日はベトナム戦争の際に枯れ葉剤が散布された地域で生まれた結合双生児ベトちゃんドクちゃんの誕生日にちなみ、一卵性双生児を診察した経験を報告する。

 現在二十代の兄弟。高校二年の時、兄A君が脳炎にかかった。救命のため脳の一部を切除したところ、明るい性格が一変した。八年前、うつ状態で私の勤める精神科病院へ来たが、私の開業に伴い、担当医を交代した。

 三年前、関東の大学に通う弟B君がうつ状態となり、休学。実家に戻り、当院を受診した。「兄の病気の時、高校の先生から『A君は大丈夫?』と兄のことだけ聞かれるのが寂しかった」と振り返る。話を聴き続けて数年、B君は大学に戻って卒論を仕上げた。

 一卵性双生児は遺伝子が同じで好みも似ることが多い。二人も「映画のあれ、よかったね」で話が通じる仲だ。では同じ病気にかかるのか。例えば一人が統合失調症にかかり、もう一人が発病する確率は約50%とされる。発病する人といない人がいるのは、病気に関する遺伝子のスイッチが環境次第で切り替わるためと考えられる。

 兄弟の診察で思い出すのが記者時代。一九八六年、脳炎の治療で来日したベトちゃんドクちゃんを取材した。下半身で一つにつながる「二人」はそれぞれベトナムと日本の国旗を握りしめ、同じ調子で振っていた。 (心療内科医 小出将則)

 

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