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タブー視せず互いに理解を 生理テーマに男性監督が映画

 「隠すべきもの」というようにタブー視する意識が根強い女性の生理(月経)。そうした価値観を変えていこうという動きが広がりつつある。生理をテーマに、男性監督が製作したドキュメンタリー映画「LOOKING FOR THAT」(アレを探して)もその一つ。なぜ今、生理について知ることが、男女を超えて必要とされるのか。 (小中寿美)

価値観変え女性を楽に

 そもそも生理とは、妊娠準備のために厚くなった子宮の内膜がはがれ落ち、血として排出される現象。出血は三〜七日間続く。生理前に心身に不調を抱える人、生理中に腹痛や腰痛などに悩む人は少なくない。

上映会後、生理について話す朴さん(左)と遠見さん=東京都千代田区で

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 兵庫県在住の朴基浩(パクキホ)さん(32)が監督した映画のタイトルにある「アレ」は、生理を指す言葉。女性同士でも、生理を「アレ」と呼ぶことから着想を得た。「生理を隠し、話さない空気が社会にある表れ」と話す。

 二〇一八年秋、インターネット上で生理に関するアンケートを行った。女性百五十人以上から寄せられた「生理は地獄」「いすを汚してしまい拭いた」などの生々しい声に、「本当は大変さを分かってほしいのでは」と映画製作を決めた。

 登場するのは、子宮内膜症の予防に低用量ピルを使う女性、風俗業の女性、生理前に精神症状が強く出る月経前不快気分障害(PMDD)に悩む女性と夫、閉経した女性ら職業も考え方も異なる十五人。浮かび上がるのは、男性にどう思われるかを意識する姿だ。隠す理由を問われ、「言われても困る、と思うのではないか」と男性に遠慮したのは三十代の自営業女性。別の女性は「女性らしさを求める男性に汚いところは見せられない」と話した。

 「生理ブーム」ともいわれる状況が昨年から続く。紙袋で包む必要を感じさせないシンプルな包装の生理用品の登場、朴さんの映画とは別に、生理を扱った漫画の映画化もあった。

 女性の健康に関わる官民の団体ウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会によると、現代女性の生涯の生理回数は約四百五十回。多産だった昔の九倍にもなる。体への負担は重く、回数が多いほど子宮内膜症や女性特有のがんの増加が予想される。一方で働く女性は増え、不調への理解や支援が重要性を増すが、社会はまだまだ男性が中心だ。

 撮影前、ナプキンを着けたり替えたりする煩わしさも体験した朴さんは言う。「オープンに話すか話さないかは女性自身が決めること」。その上で「男性が生理を知って理解すれば女性は楽になる」。映画は昨年末から東京都内などで上映。問い合わせはツイッター「kihopa07」から。

男女の意識差「教育に一因」

 総合PR会社オズマピーアール(東京)などは昨年十月、十五〜七十九歳の男女千四百人に意識調査を実施した。生理の印象を三つ答える質問では、女性が「面倒くさいもの、わずらわしいもの」を選んだ人が42・6%で二位だったのに対し、男性は12・5%で九位。30ポイントの差がついた。一方、男性の二位は「あって当たり前のもの、自然なもの」の26・0%。監修者で性教育に携わる産婦人科医の遠見才希子さん(35)は「『当たり前』と考えるから、『女性は生理にまつわる困りごとを受け入れるしかない』と考える男性が少なくないのかも」と推測する。

 男女間の意識差を生む一因として遠見さんが挙げるのは、教育だ。学習指導要領では、小学三・四年で初経や精通など思春期の体の変化を教えることになっているが、授業の内容は学校に任されている。男子と女子を分けて教える学校もあり「これは『生理を知ることはタブー』という男性の意識につながる」と指摘。その上で「男女が互いを理解するには、互いの体を知ることが大切」と話す。

 

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