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【元記者の心身カルテ41】カウンセリングは持久走

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 暖冬とはいえマラソンの季節。長距離を走り続ける姿は人生にたとえられる。苦しさに耐えると、エンドルフィンなど麻薬に近い物質が脳内で作られて楽になるが、心の治療でも似たことが起きる。

 五十代男性。大手自動車部品会社に十年勤めたが、「下請けをいじめる姿」に嫌気がさし、障害者支援施設に転職。ところが過労でうつ病となり、今は別の施設で働く。不安定な気分を治したいと六年前、大学病院から転院した。

 病気の経過が長く、薬だけでは治療は難しいと考え、カウンセリングを柱にした。いくつもある技法の中で精神分析的療法を続けている。カウンセラーとの対話を通して普段は意識しない心の底まで探る。自分を偽らず、ありのままの姿を鏡に映し出すような治療は苦しさを伴うが、乗り越えれば確かな手応えがある。当院では心理系の大学院を卒業後、臨床経験を積んだ公認心理師が担当する。

 カウンセリングは百五十回を数えた。三十回ほどまでは「仕事で会話を深読みして失敗した」といった話をしていたが、百回を過ぎてからは「人と違ってもいいと思えるようになった」と変化があった。今では「父親に怒られて育った」と幼少時を振り返ることができるように。「受験に遅れた息子が困って電話してきた時に落ち着いて助言できた」とも。「持久走」のたまものだ。 (心療内科医 小出将則)

 

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