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「飛沫」「接触」に警戒して  広がる新型肺炎 一から整理

 中国を中心に感染者が急増し、日本でも感染が拡大する新型コロナウイルス。人から人へと感染することも分かり、不安は募るが、実際のところ、何を、どう警戒すべきなのか。これまでに分かってきたこと、まだ分からないことを一から整理する。 (安藤孝憲)

昨年末武漢で 人から人へ感染

 中国湖北省の武漢市で原因不明の肺炎患者が確認されたのは昨年末。世界の感染者数は既に、二〇〇二年十一月〜〇三年八月に中国を中心に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を超えた。

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 ただ、「新型の方が感染力が強いとは単純に言えない」と東京医科大の浜田篤郎(あつお)教授(渡航医学)。理由として、人の移動が活発になったことを挙げる。例えば、中国からの訪日客の数は〇二年の年間四十五万人から、昨年は九百五十九万人と約二十倍に。「人の移動の多さは感染が広がる一番のリスク要因」と話す。

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 日本では一月十六日に患者を初めて確認。二十八日には武漢からの客を乗せた奈良県のバス運転手など渡航歴のない患者が現れ、人から人にうつることが確認された。しかし、二月二日現在、患者はいずれも何らかの形で武漢とのつながりが推測できる人だ。世界保健機関(WHO)の西太平洋地域事務局長としてSARS対応にも当たった尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は「これまでの例は感染経路をたどることが可能で、国内に感染が定着したとは考えない」と指摘。一方で「経路を追えない例が出た際は警戒の仕方を考え直す必要もある」と話す。

発熱、呼吸器症状 受診前連絡を

 最近の中国の衛生当局の発表では、感染しても軽い発熱や乾いたせきが出るだけで肺炎の症状がない場合も多いとされる。致死率も今のところ、SARSや中東呼吸器症候群(MERS)より低い2%程度だ。風邪やインフルエンザもはやる季節。どんな症状を自覚したら新型肺炎を疑えばいいのか。

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 国立感染症研究所が一月二十一日に出した自治体や医療機関向けの資料には、新型肺炎を疑う例として「発熱(三七・五度以上)かつ呼吸器症状を有している」とある。ただし、武漢への渡航歴があるか、感染者との接触があることが条件だ。対応は今後変わる可能性もあるが、現状はこの疑い例に当てはまる場合に、のどの奥の粘膜などの検体を取って感染の有無を検査する。

 医療機関側は二次感染を防ぐ意味でも受診前に連絡を入れるよう求める。各都道府県には、入院が必要な新型肺炎患者に対応する「感染症指定医療機関」があり、結果が陽性なら、そこに入院、治療を受ける。愛知県の担当者は「重症者の対応を優先するためにも、急に指定医療機関へ駆け込むことは控えて」と話す。自治体や保健所なども電話相談窓口を設置している。

 新型肺炎の特効薬やワクチンはない。中国当局は抗エイズウイルス(HIV)薬を試験的に使っていると明らかにしたが、効果は未知数。名古屋市立大の中島捷久(かつひさ)名誉教授(ウイルス学)は「現状は通常の肺炎と同様、解熱やせき止めなどの対症療法が中心」と話す。

手洗い、マスクで予防

 厚生労働省も多くの専門家も、通常の感染症対策と同じで、こまめな手洗いとマスク着用が予防の基本と説明する。これは、新型肺炎の感染が、せきやくしゃみなどのしぶきを吸い込む「飛沫(ひまつ)感染」か、ウイルスが付いた手で鼻や口、目を触ることで体内に入る「接触感染」によると考えられるためだ。ウイルスが空気中に漂う「空気感染」の可能性を示す証拠は、今のところない。

 手洗いはせっけんを必ず使い、時間をかけて。腕時計や指輪は外し、手のひらだけでなく手の甲や指先、爪の間、指の間、手首までしっかりこする。目新しさはないが、中日病院の鈴木正之副院長は「これが最も有効。この機会に習慣づけて」と呼び掛ける。手洗いの励行は、インフルエンザなど他の感染症の予防にもつながる。アルコール消毒も有効とされ、携帯用の商品が販売されている。

 新型肺炎かどうかに関係なく、せきが出る人は感染を広げないため、マスクの着用が必要だ。マスクは小さなウイルス自体の侵入は防げないが、ウイルスを含んだしぶきを防ぐ効果は期待できる。マスクの外側にはしぶきが付いている恐れがあるため触れないよう注意し、こまめに交換する。

 これらに加え、十分な睡眠、食事を取って免疫力を高めることも大事だ。

 新型コロナウイルスは、感染しているのに症状が出ない人も。自覚症状がないまま他の人に感染させてしまう可能性もあるため、万全の予防策を取りたい。

 

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