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【元記者の心身カルテ31】 薬はリスクを忘れずに

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 不眠や不安の治療に使われるベンゾジアゼピン(BZ)系の薬。近年、ふらつきや物忘れなどの副作用が指摘される。特に、BZの代表格ともいえるエチゾラムのような短時間だけ効くタイプを急にやめると、離脱症状が生じて不眠や不安が悪化する。BZ以外の薬を優先すべきだ。

 二年半前、八十代男性が受診した。不眠などでエチゾラムを飲み続けて三十五年。訴えはいらいらだったが、不眠も悪化していた。うつ状態と判断し、抗うつ薬を処方。うつは回復したが、長年のエチゾラム服用が影響していることも考えられた。減量を試みたが、離脱症状で実現せず、副作用に注意しながら処方を続けている。

 不安症の四十代主婦は三年前、不眠や胸の圧迫感で受診。心身症の一つである舌痛症にも悩んだ。異常がないのにピリピリとした痛みや違和感がある原因不明の病気だ。進化の過程で毒物や異物を判別するために発達したと考えられる舌の感覚は指先と同様、鋭い。

 熟慮の末、BZの中でも依存性が比較的少なく、長時間効く薬を処方。症状の改善に伴い、数カ月かけて減薬したが「薬がないと不安」と、あと一歩が進まない。ところが、薬の紛失がきっかけでやめられた。「『薬なしで大丈夫』と先生が言い続けた意味がやっと分かった」。薬はリスクを忘れずに。(心療内科医 小出将則)

 

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