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病院再編案、採用に弊害 中部9県調査・研修医や薬剤師 辞退

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 厚生労働省が再編統合の検討が必要だとして全国の公立・公的病院の実名を公表したことを巡り、中日新聞社は中部九県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、滋賀、石川、富山)の該当七十四病院を対象にアンケートを行った。愛知、岐阜、長野、滋賀、静岡の五県八病院で、医師や看護師などの職員採用で影響が出たことが分かった。公表により、病院の将来が不安視されたせいとみられる。(地域医療取材班)

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 厚労省は九月、がんや救急などの診療実績が少ないか、近くに類似の機能を持つ施設がある全国四百二十四病院の名前を公表した。中部九県の該当七十四病院のうち、五十九病院(79・7%)が本紙のアンケートに回答した。

 72・9%に当たる四十三病院が、公表による影響が「あった」と答えた。職員や患者から「病院がなくなるのか」という問い合わせが相次いだことなどをあげる病院が目立つ中、八病院が採用など人事への具体的な悪影響をあげた。

 「内定していた薬剤師が採用直前で辞退した」(静岡県の公立病院)、「研修医の初期研修の志望辞退があった」(愛知県の公立病院)といった事例。愛知県のみよし市民病院の伊藤治院長は「大変苦労して来年度からの勤務を承諾してもらった医師が『保留』になってしまった」と明かす。

 今回の厚労省の公表には、78%の四十六病院が「評価しない」と回答した。病院側へ事前に告知しないまま公表したことへの反発や、がんや救急などの診療実績で機械的に判断されたことへの不満が目立った。

 大都市から離れているため医師が確保できず、患者を受け入れられない結果、「診療実績が低い」と判断された病院も多いのが実情で、伊藤院長は「中小の公立病院で、がんなどの実績が少ないのは最初から分かっていること。作為的な評価だ」と批判。「公立病院は不採算部門も維持しながら地域医療を支えている」と訴えた。

 今回の公表対象は、公立病院や赤十字などの公的病院に限られた。地域医療機能推進機構金沢病院(金沢市)の村本弘昭院長は「民間病院も含めた議論が絶対に必要」と答えた。

 一方、将来の需要に見合った医療サービス提供のため、病院機能全体を見直す国の地域医療構想には79・7%の四十七病院が「賛成」と答えた。「人口減少を考えると病床削減は必要」といった声があった。アンケートでは、医療のあり方を見直す「総論」には理解を示しつつ、地域の実情にあった議論を求める姿勢が鮮明になった。

 【再編統合の検討が必要な病院名の公表】人口減を見据え、将来の需要に見合った医療提供体制をつくる「地域医療構想」推進のため、9月に厚生労働省が公表した。対象病院には、来年9月までに再編や統合などを含む将来像を示すよう求めているが、強制力はない。地域医療構想では、がん治療や救急患者など向けの病床を削減する一方、リハビリなど回復期を支援する機能は強化する方針を掲げている。

 病院の再編、統合や地域医療の今後のあり方などについてご意見をお寄せください。中日新聞「地域医療取材班」 ファクス052(201)4331、Eメールbyouin@chunichi.co.jp

 

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