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【元記者の心身カルテ28】防御反応 拒食から過食に

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 今回は摂食障害のうち、過食嘔吐(おうと)などを伴う神経性過食症の話。

 五年前、神経性やせ症(拒食症)の中学三年女子を紹介された。食事は一日リンゴ一個。姉との比較や祖父母の不仲が嫌で「病気になりたかった」。高校は半年で退学。通信制高校に入り直し、アルバイトを始めたが、うつ状態に。拒食は脳も萎縮させるためだ。総合病院に入院して食生活のリズムは整ったものの、気分の波が激しくなり、今度は過食に陥った。

 二年前、医療事務の資格を取れたことが転機になった。冷蔵庫に「過食に気をつける」とメモを貼った。姉の結婚式で「私もウエディングドレスを着たい」と思ってからは、さらに改善。下剤を全部捨てた今年、生理が戻った。

 千人以上の患者を診た経験から言えるのは、拒食で栄養失調になると、「やせたい」欲求とは裏腹に、体が食物を求める防御反応が働くこと。それに便利なインターネットが加わると、抑制が利かなくなり食物を買いあさるように。こうして拒食症から過食症に転じる例が増えている。アルコールやギャンブルと同様、過食行為を依存症と扱う見方は欠かせない。

 十四日から大嘗祭(だいじょうさい)。即位した天皇が新穀を神とともに食する。前回の大嘗祭には、宮内庁詰め記者として参列した。闇に浮かぶかがり火が幻想的だった。食の変遷をあらためて思う。 (心療内科医 小出将則)

 

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