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歯垢落とし歯周病予防 放置すると全身に影響も

 十一月八日は「いい歯の日」。大切な歯を失う二大原因といえば、歯周病と虫歯だ。特に、日本で成人の八割近くがかかっているとされる歯周病は、全身の病気との関連も分かってきている。知っているようで知らない歯周病の基本を押さえ、効果的な歯磨きと早期治療で歯を残し、健康に長生きしたい。 (小中寿美)

歯間の清掃をしっかり

 口の中は大腸に次いで細菌が多い。歯周病が専門の愛知学院大歯学部教授、三谷(みたに)章雄さん(48)は「通常、七百種類以上、二千億個の細菌がいる」と言う。ネバネバしたプラーク(歯垢(しこう))は食べかすを栄養源にしてできる細菌の塊。毎日の歯磨きで取り除かないと、歯周病や虫歯を引き起こす。

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 虫歯と、歯の周囲組織に発生する歯周病は、原因となる菌の種類が異なる。虫歯の菌は、飲食物の糖分を餌に酸をつくって歯を溶かす。一方、酸素にさらされると死んでしまう歯周病の菌は、歯と歯茎の隙間の歯周ポケットをすみかにして増殖。増え続けた菌がポケットから歯茎に侵入するとはれたり出血したりする。

 「こうした炎症は、細菌から身を守ろうと免疫細胞が歯茎に集まった結果」と三谷さん。この段階で、細菌の供給源となる歯垢や、歯垢が石灰化した歯石を除去すれば、炎症は治まる。しかし、放置すると、歯を支える歯槽骨が溶け、最後は歯が抜け落ちてしまう。

 加えて、歯周病の原因菌などが血管を通じて体内に入ると、血糖値を下げるインスリンの働きを妨げ、糖尿病が悪化する恐れがある。また、歯周病の病巣から炎症を起こす物質が出続けることで血管内に脂肪性の沈着物ができ、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞を起こす可能性も指摘されている。

 三谷さんによると、健康な状態は、歯と歯茎の間の隙間の深さが二ミリ以下。歯周病初期の歯肉炎や、症状が進んだ歯周炎では深さが四ミリ以上に。病状が進むと完治は難しい。二〇一一年の国の歯科疾患実態調査によると、歯周病の所見のある三十五〜六十九歳は、五歳区切りの各年齢層で八割に上った。欧米の三〜四割に比べて高いのは「デンタルフロスなどを使った歯と歯の間の清掃が定着していないから」。一六年の調査では、歯間部の清掃をしている男性は31%、女性は46%。実は、歯ブラシで落とせない部分の歯垢は全体の四割を占める。歯石になると、歯科でしか除去できない。自覚症状がないうちから検診を受け対策したい。

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 豊かな食生活の維持などを目的に、歯の本数を保つ取り組みが進んだ結果、歯が多く残る高齢者も多い。それに伴い、一六年の調査では六十五〜七十四歳で虫歯のある人の割合は一九九三年に比べて18ポイントも増えている。大人に多い虫歯は、上部の硬いエナメル質でなく、露出した軟らかい象牙質にできる「根面(こんめん)う蝕(しょく)」。歯周病や強すぎる歯磨きで歯茎が下がる人が増えるためだ。酸がつくられるのを抑え、歯を強くする働きがあるフッ素入りの歯磨き剤などを使うといい。

就寝前は特に念入りに

 「口の中を清潔に保つ上で特に大切なのは、就寝前の歯磨き」と三谷さんは言う。就寝中は、細菌の繁殖を抑える成分が含まれた唾液の分泌が減るためだ。

 歯ブラシは、奥歯と頬の間にも入りやすいよう、毛が長すぎない小さめがお薦め。毛の硬さは普通、毛先は直線型がいい。小豆の粒くらいの量の歯磨き剤をのせたら、毛先を歯と歯茎の境目に当て、一本ずつ小刻みに磨く。少なくとも十分はかけるといい。すすぎは、フッ素を口の中に残すため、少量(約三十ミリリットル)の水で、一回にとどめる。

 歯間部の汚れは、フロスや歯間ブラシを歯の側面に沿って動かしてかき出す。「歯磨きは少なくとも朝食後と就寝前の一日二回。就寝前は歯間部清掃を習慣にしてほしい」

 

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