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【元記者の心身カルテ26】パニックは脳の誤作動

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 米国で株価が大暴落し、経済はパニックに陥った。一九二九年十月に始まった世界恐慌から九十年。今日はパニック障害について。

 慌てることを「パニクる」と言うが、心の病気のパニックは少々異なる。突然、動悸(どうき)や窒息感、冷や汗やめまいなどの自律神経症状が出て、ひどいと死の恐怖を伴う。こうした発作は長くても数十分で治まるが、また起きたらという予期不安から、生活に支障をきたす。歯科医院や映画館、乗り物など逃れられない状況で生じることが多い。脳内にある危険回避の警報装置が誤作動を起こす病気だ。

 四十代の外国人会社員。社内業務は順調だが、出張ができず困っていた。薬で症状を緩和して新幹線に乗れるようになり、最大の難関の海外出張に挑戦することに。休日に家族の付き添いを得て国内線で慣らし飛行。自信をつけた勢いでシンガポールまで飛べた。

 同世代のトラック運転手は陸で格闘中。映画「トラック野郎」に憧れて運送業を選んだ。ところが十年前の雨の日、高速道路のトンネルで突然パニックに襲われた。「闇の中に吸い込まれる怖さ」。以来、予期不安と向き合う日々。仕事内容と症状の経過をノートに記録し、少しずつ改善している。

 治療は、苦手な状況を段階に分け、容易なことから徐々に困難に向かう行動療法が中心。「習うより慣れろ」でゴー。 (心療内科医 小出将則)

 

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