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冬にかけ増加 心筋梗塞 入浴時など「寒暖差」注意

 秋の深まりとともに、朝晩の冷え込みが激しくなってきた。これから冬にかけて要注意なのが、心臓の血管が詰まることで引き起こされる心筋梗塞だ。気温差が激しいと自律神経のバランスが崩れて血圧が上下に変動、血管にストレスがかかりやすいという。予防には、規則正しい食生活や適度な運動が欠かせない。(細川暁子)

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 「心筋梗塞の患者は冬に多い」。名古屋ハートセンター(名古屋市東区)循環器内科統括部長の伊藤立也医師は指摘する。厚生労働省の二〇一七年の人口動態統計によると、急性心筋梗塞の死亡者三万四千九百五十人のうち、最も多いのは一月の四千四百五十七人。二月以降は減少傾向だが、気温が下がる十月から十二月にかけて増加する。

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 「寒暖差が激しいと血圧が変動しやすい」と伊藤医師は分析する。特に注意したいのは、入浴時の「ヒートショック」だ。冬場、脱衣所に暖房がついていない場合、そこで裸になると血管は収縮し、血圧が上がる。血流を減らすことで熱が体の外へ逃げるのを防ぐためだ。一方、熱い湯船に入ると、今度は熱を放出しようと血管が広がって血圧が低下。そこから脱衣所に戻ると、再び血圧が上がる。

 心筋梗塞は、血の塊「血栓」によって、心臓の表面を走る血管「冠動脈」が詰まることで発生。血栓は、血管内にコレステロールなどの脂質がたまってできたプラークが、急激な血圧の変化などで破裂してつくられる。大きな温度差は血栓ができやすい状態を生み出すのだ。冠動脈が詰まって、心臓の筋肉「心筋」に血液が流れない時間が長いほど、全身に酸素が行き渡らなくなる。

 心筋梗塞の症状は主に胸の痛み、冷や汗など。嘔吐(おうと)や呼吸困難を伴うことも。発症後は、血管を広げて血流を再開させる「カテーテル手術」が必要だ。半日以内に処置しないと心筋が完全に壊死(えし)してしまう。「再開までの時間が長いほど、まひなどの後遺症や死亡の危険が高まる」と伊藤医師。「経験したことのない胸痛など心筋梗塞が疑われたら、ためらわずに救急車を呼んで」と話す。本人が意識を失っていたり、脈がなかったりした場合は、周囲の人がまずは心臓マッサージ、さらには自動体外式除細動器(AED)を使って電気ショックを与えることも求められる。

糖尿病持つ人 定期的検査を

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 胸の痛みがなく、気付かないうちに冠動脈が詰まる例も。七年前、動脈硬化による心筋梗塞でカテーテル手術を受けた俳優の渡辺徹さん(58)は八月、日本心臓財団などが東京都内で開いたイベントで、治療経験を話した=写真。

 糖尿病の持病があり、少し歩くだけで息切れがしたり、顔色が悪いなどと家族から指摘を受けたりしていた。胸痛はなかったが、気になって受診したところ、三本ある冠動脈のうち一本が詰まっていたという。動脈の壁の厚みと硬さが増し、血栓ができやすくなる動脈硬化は、加齢や食生活の乱れ、運動不足、喫煙などによって進行する。渡辺さんは「当時は食事の時間も不規則。夜にお酒を飲んでから、ラーメンを食べることもあった」と振り返る。「今は減塩したり、散歩をしたり生活習慣に気を付けている」

 伊藤医師によると、渡辺さんのような糖尿病患者は神経障害があって痛みを感じにくいことがあるため要注意だ。定期的な検査などを心掛けたい。

 

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