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医療

【世談】死を恐れずに

 中秋の名月の九月十三日夜、長野県飯田市のがん患者渡辺さゆりさんが亡くなった。享年四十九。余命が長くないことを知りながら、地元の市立病院でがん患者カフェを立ち上げ、通院先の愛知県がんセンター(名古屋市千種区)では得意の英語を生かして外国人患者会の設立に尽力。「私の仕事は種をまくこと」と、いつも笑っていた。

 四月に朝刊医療面で掲載した「ステージ4患者座談会」にも出ていただき「死について考えることは、どう生きるかを考えること。恐れて避けてしまってはいけない」と語っていた。夫にみとられての安らかな最期だったそうだ。

 その二週間後、座談会で渡辺さんと同席した同僚の都築修編集委員(享年五十九)=名古屋市守山区=の訃報が届いた。昨年、突然の余命告知を受けながら「逃げず、恐れず、取り乱さず」を信条にして、体調が悪化するまで仕事を続けていた。「ふだん通りが一番」という姿勢は、ずっと変わらず「家族で死生観を語るいい機会」とさえ言っていた。

 死を恐れなかった二人へ、惜別の思いとともに深い感慨を覚える。人生の質とは長さだけじゃなく、真剣に生き切れるかどうかだと。 (編集委員・安藤明夫)

 

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