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医療

 手のこわばり注射療法も  手術せずに短期間で改善

放置しないで治療を

痛み感じない程度に

 パソコンの使いすぎでけんしょう炎になったり、指が曲がって動かなくなったりと、手にまつわるトラブルは意外に多い。一方で「年のせい」「手術は怖い」などと放置している人も。医療現場では、最近、従来の手術に加え、注射を使った治療法が登場。手の治療を専門に行う「手外科」を開設する病院も増えている。 (北村麻紀)

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 「右手の小指が曲がったままで、洗顔や物の出し入れがうまくできない」。首都圏在住の七十代後半の男性は一年ほど前から悩んでいた。病名はデュピュイトラン拘縮。コラーゲンの異常な沈着が原因で、手のひらから指にかけてがこわばり、次第に指を伸ばしにくくなるのが特徴だ。

 男性は三カ月ほど前、国際親善総合病院(横浜市)の手外科センターを受診した。同センターは昨年九月に開設されたばかり。受けたのは、しこりの部分にコラーゲンを分解する酵素を注入する注射療法だ。指は、薬剤注入から一週間でほぼ真っすぐ伸ばせるまで改善。治療費は一割負担で数万円だった。

デュピュイトラン拘縮で小指が曲がった70代男性の右手

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 同センター長の森田晃造医師(49)によると、拘縮の治療はこれまで、しこりを切除する手術が主流。皮膚を切開する手術は入院が必要など負担が大きい。一方で「注射療法は傷痕も目立たない」と話す。

(下)小指に薬剤を注入(いずれも国際親善総合病院提供)

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 ただ、二〇一〇年代に米国で開発された注射剤の販売が国内で始まったのは一五年。年々増えているが、まだ日が浅く、「十年、二十年後も重篤な副作用が出ることなく、効果が持続するかは、予後のデータの蓄積が必要」という。

 スマホなどをよく使う人がなりやすいドケルバン病などのスマホけんしょう炎、指を動かす腱(けん)が炎症を起こし動かせなくなるばね指、手指にしびれや痛みを感じ、指先でつまむ動作が難しくなる手根管症候群−など手の病気はいろいろだ。仕事や日常生活で手をよく使う人に目立つという。デュピュイトラン拘縮は高齢男性、手根管症候群は更年期の女性に多いとされる。

 手のトラブルには脳梗塞や糖尿病など重篤な病気が隠れている場合も。森田さんは「手指にしびれや痛みを感じたら、すぐ整形外科で検査を」と話す。手が思うように使えなければ、生活の質は下がる。手は構造が複雑なため、専門的な知識と技術を持つ医師にかかるのが望ましいが、手外科の専門医はまだ千人ほど。日本手外科学会のホームページにある都道府県別の専門医の名前と勤務先が参考になる(学会名で検索)。

 手の病気の予防とリハビリに役立つケア体操をやってみよう。東京・水道橋の「TOKYO腰痛肩こりケアセンター」院長で、日本大レスリング部の公認トレーナーも務める仮屋崇さん(41)に教わった=CG。

 手の指や手首を曲げ伸ばしできる角度などは人それぞれ。痛みを感じない範囲でやることが大事だ。「リハビリ中の人が無理に動かすと、かえってけがをすることもあるので要注意」

 ポイントは、指を手のひら側に曲げる運動の後、必ず甲側に曲げるというように、反対の動きをセットでやること。パソコン入力など手指を同じ方向に、しかも同じ部位ばかり使うのが傷める原因という。普段使わない部分も含め、まんべんなく動かすことを心掛けよう。「デスクワークを始める前と終わった後に行うと、より効果的です」

 

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