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難聴 加齢以外にも要因 騒音、生活習慣病 避けて

大音量で音楽 若者も注意を

 6月4日付の本紙健康面で取り上げた加齢性難聴。老化現象の一種で、誰にでも起こり得るが、加齢以外にも要因があり、最も大きいのが騒音。発症や進行を遅らせるため、年齢にかかわらず、耳にやさしい生活を心掛けることが大切だ。(小中寿美)

 聴力低下に詳しい済生会宇都宮病院(宇都宮市)耳鼻咽喉科主任診療科長の新田清一さん(50)によると、加齢性難聴は一般的に四十代から始まるとされる。個人差が大きく、遺伝や生活環境などが重なり合い、影響すると考えられている。

 特に影響が大きいのが騒音。新田さんは「工事現場やライブハウスなど騒がしい環境で働いている人は、より早い年代から難聴が起こることが多い」と話す。

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 加齢性難聴は、鼓膜の奥の器官「蝸牛(かぎゅう)」の中に並ぶ有毛(ゆうもう)細胞が、加齢によって抜け落ちたり、傷ついたりし、音が感じられなくなることによって起きる。騒音に長時間さらされた時も同じで、音による振動で有毛細胞が傷ついてしまう。

 「有毛細胞は再生せず、失った聴力は戻らない」と新田さん。予防には、騒音のある職場にいるなら耳栓をする、コンサートなど騒がしい場所で過ごした後は静かに耳を休ませるといった対策が必要だ=図。

 懸念されているのが、大音量で音楽を聴く若者が難聴になること。世界保健機関(WHO)は世界の十二〜三十五歳の半数にあたる十一億人がスマートフォンの音量の上げすぎやクラブ、スポーツイベントなどで大音量にさらされ、難聴のリスクがあると警告する。

 WHOは国際電気通信連合(ITU)と共同で、スマホなどの音楽再生機器の製造と使用についての基準を策定。安全に使う目安として、大人で八〇デシベル、子どもで七五デシベルの音量で一週間に四十時間が限度としている。

 新田さんは「ヘッドホンやイヤホンで音楽を楽しんでいる時に、周りの音が聞こえない場合は危険な音量になっている可能性がある」と指摘。周囲の会話が聞き取れるくらいの音量が、安全に使えている一つの目安という。

 騒音とともに、若いうちから気を付けたいのが生活習慣病だ。加齢性難聴が専門の医師で、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)耳鼻いんこう科研究員の杉浦彩子さん(46)によると、一九九七年から続ける研究では、動脈硬化の人が騒音にさらされると、さらに難聴になりやすいことが分かっている。

 聴覚に関わる神経や血流に障害が起きるためと考えられ、糖尿病や肥満も危険因子として知られる。杉浦さんは「スマホの普及で騒音にさらされる機会が増えることも予想される。予防の啓発が必要」と話す。

 難聴は少しずつ進行するため、しばらく気付かないケースも多く、早期発見が大切だ。新田さんは「耳鼻咽喉科で検査を受けたり、周囲の人が聞こえの衰えに気付いたりすることが重要」と指摘。騒音のある職場の人は年に一回、一般の人は聴力の低下を感じたら、受診して検査することが望ましいという。

 早期発見につなげようと、デンマークの補聴器メーカーの日本法人GNヒアリングジャパン(横浜市)はホームページで自分の聞こえを手軽に調べられるサイト「きこえのチェック」を公開。WHOのスマホ向け無料アプリ「hearWHO」もある。

    ◇

 加齢性難聴 加齢に伴い、聴覚の機能が低下して起こる難聴。日本耳鼻咽喉科学会によると、65〜74歳の3人に1人、75歳以上の約半数が悩んでいるとされる。音の刺激が減って脳の機能が弱まることなどから認知症のリスクを高めるとも指摘されている。根本的な治療法はなく、普通の会話が聞きづらいなど生活に支障が出てきたら、補聴器を使うことが推奨されている。

 

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