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知って闘うアレルギー「被災時どうしのぐ」  

避難グッズ詰めて常備を

 9月1日は防災の日。生活環境の影響を受けやすいアレルギー患者は被災時、避難所で出される食事が食べられない、湿疹が悪化するなどさまざまな問題を抱える。特に弱い立場に置かれるのが、自分の病状を説明するのが難しい子どもたち。「普段から災害時の備えをしてほしい」と専門家らは言う。 (小中寿美)

食品表示を確認しながら、避難リュックに詰める子どもたち=岐阜市の長良医療センターで

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 岐阜市の長良医療センターで九日にあったアレルギーの勉強会。参加したのは食物アレルギーのある小学生ら二十人だ。胸には卵や乳製品などそれぞれのアレルギーの原因となる食材を記した名札代わりのカード。認定NPO法人「アレルギー支援ネットワーク」(名古屋市)が作った。

 会では、管理栄養士がどんな原材料や添加物が含まれているかを示す食品表示の見方を説明。参加者は表示を確かめながら用意されたアルファ化米や菓子、アレルギー対応食など六種類の食品から、自分が食べられるものを自分のリュックサックに詰めていった。

 同センターでは二年前から、年に三回、勉強会を開いているが、子ども向けは初めて。災害時は親と子がしばらく離れ離れになる可能性も少なくない。「自分で身を守れるように」と、岐阜県内の二つの患者団体が中心になって催した。

●吸入器や薬品も

 この日は、避難グッズの例を示した一覧表も配られた。会を企画した団体の一つ、大垣市の「西濃アレルギーの会Hug」代表、樋口あゆみさん(40)が作ったものだ。載っているのは、下着やマスク、水といった一般的に必要な品に加え、ぜんそくの吸入器、薬など計四十四点。必要なものを子どもに自分で考えさせるのが目的だ。

●背負える重さに

 皮膚を清潔に保つのが大事なアトピー性皮膚炎なら体を拭くシート、アナフィラキシーを起こす恐れがある子は自己注射薬「エピペン」という具合だ。ただ「自分で背負える重さにするよう気を付けて」と樋口さん。食品や薬の期限が切れないよう「年二回は中身の点検を」とも呼び掛ける。

 災害時のアレルギー患者に目が向き始めたのは、二〇一一年三月の東日本大震災から。当時、日本小児アレルギー学会は、患者の家族や周囲、行政向けに対応策をまとめ被災地に届けた。作成に携わった名古屋医療センター小児科医長の二村昌樹さん(45)は「重症の場合を除き、アレルギーはすぐに死と結びつかないため軽視されやすい」と指摘。「現場が混乱する中、一般の支援物資に紛れ、アレルギー対応食が患者に届かない例もあった」と振り返る。

●自助で乗りきる

 アレルギー対応食を備蓄している自治体もあるが、発生から約一週間は行政の支援にも限界がある。二村さんは「その間は自分の備えで乗り切る『自助』が大事」と強調する。

 昨年七月の西日本豪雨では猛暑に加え、断水が被災者を襲った。入浴やシャワーで肌を清潔にし、薬を塗ることが必要なアトピー性皮膚炎の患者は、症状が悪化する人が続出した。支援物資を送ったアレルギー支援ネットワークの常務理事の中西里映子さん(62)は「季節に合わせて備えを見直すことも大事」と話す。例えば、アトピーの場合、夏はたたくと冷たくなる保冷剤がかゆみを抑えるのに役立つ。アトピー対策で二村さんが勧めるのはせっけんとビニール袋だ。少量の水とせっけんを入れて振れば体を洗う泡ができる。

 関心の高まりとともに、さまざまな団体がマニュアルを出す中、日本小児アレルギー学会はホームページで情報を厳選したパンフレットを掲載している。備えあれば憂いなしだ。

 

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