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2度目以降 急に悪化も  ハチの毒 

高リスク者検査で確認を

 8月をピークに秋にかけてハチに刺される事故が増える。過去に刺され、ハチ毒にアレルギーがある人は次に刺されると、じんましんや呼吸困難など複数の症状が急激に出るアナフィラキシーが起きる恐れがあり、死亡することも。専門家は高リスクの人に、アレルギーの有無を検査した上で刺されない対策や、刺されて強い症状が出た際に一時的に緩和する自己注射薬(エピペン)の携帯を促す。 (小中寿美)

 三重県内に住む女性(61)はこの夏、自宅のベランダで、飛んでいたアシナガバチに刺され、全身にじんましんが出た。趣味で養蜂をしている同県の男性(68)は、庭で飼っているミツバチに刺されて意識が遠のき、救急搬送された。

 二人とも医療機関で応急処置を受けた後、津市の「おおにし呼吸器・糖尿病内科 呼春(こはる)の森診療所」へ今後の対応を相談した患者だ。問診で、過去にも同じ種類のハチに刺されたことがあると分かり、アレルギー反応を起こす抗体があるかを調べる血液検査でも陽性だった。

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 ハチに刺されると、一〜二割の人はハチ毒に対する抗体が体内にできる。次に刺された時には、ハチ毒に含まれるアレルゲン(原因物質)と結び付くことでアレルギー反応を起こす。

 アレルギー専門医で、院長の大西真裕さん(40)は問診と症状などから、二人はアナフィラキシーを起こしたと判断。再び刺されると重篤な状況に陥る可能性もあり、ハチ刺されを防ぐポイント=図参照=を伝え、エピペンを処方した。

 同診療所は昨年五月に開院。ホームページでハチ毒アレルギーの検査を受けられると紹介したところ、林業などの関係者から問い合わせが少しずつ増え、これまでに十数人に実施した。

 大西さんは「救急外来はアナフィラキシーへの対応に精いっぱいで、その後の指導まで手が回らない」といい、リスクの高い人の把握と、次にアレルギーを起こさせないようにする対策の必要性を強調する。

 国の人口動態統計によると、ハチに刺されたことによる死亡者数は年間二十人ほど。アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴うアナフィラキシーショックを起こして死亡したと考えられており、数人の食物アレルギーよりも多い。

 ハチ毒アレルギーに詳しい独協医科大埼玉医療センター呼吸器・アレルギー内科の平田博国准教授(49)によると、夏はハチの活動が活発化。攻撃性の強いスズメバチをはじめ、アシナガバチやミツバチも刺されれば、アレルギーを起こす可能性がある。

 アレルギーのある人が再び刺されると、一〜二割にアナフィラキシーが起き、そのうち数%がアナフィラキシーショックになる。刺されてから長い年月がたてば抗体は減っていくが、一〜二年のうちに再び刺されるとアナフィラキシーは起こりやすくなる。

 刺されるのが初めてでも、ハチの数が多いなど一度に多量の毒が入るとアナフィラキシーのような症状を起こすことがあり、死に至るケースもあるという。

 平田さんは「ハチ毒はアレルギー反応が早く、症状が早く現れるほど重症化することが多い。アナフィラキシーの症状が出てから心停止まで十五分という報告もある」と話す。

 重篤になるリスクが高いのは、過去にアナフィラキシーを起こした人や、林業、電気工事業などハチに刺されやすい仕事環境の人。ただ、近年は都市の民家に巣を作ることも多い。平田さんが診た患者の半数は、そうした職業には就いていない一般市民で、自宅で刺されるケースが最も多い。

 対策としては、刺されたことがあり、リスクが高いと思われる人はハチ毒アレルギーがあるかを血液検査などで把握。検査はかかりつけ医やアレルギー専門医に相談する。

 刺されたことがない人も含め、何より有効なのは、刺されないようにすること。ハチを刺激しないよう、ハチや巣には近づかないのが鉄則だ。スズメバチなどの巣を見つけたら専門業者に依頼して早めに駆除する。

 駆除の相談窓口や補助金を設けている自治体も。住宅地にコガタスズメバチが多く生息している名古屋市は、市が駆除方法の相談に応じており、相談件数は年間二千件を超えるという。

 

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