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医療

がん情報 図書館が発信  専門家の相談会や冊子、闘病記の提供 

身近な支え合いの場に

 日本人の2人に1人ががんになる時代。がんに関する書籍を集めたり、専門家による相談会を開いたりする地域の図書館が、全国的に増えている。誰でも気軽に利用できる図書館は、住民にとって身近な存在だ。がんの治療や生活に関する情報を発信し、病院と患者をつなぐ場にもなることが期待される。 (山本真嗣)

がん相談会の会場。近くには、がん関連の書籍や資料も置かれた=名古屋市中区の愛知県図書館で

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 六月下旬に名古屋市の愛知県図書館であった「だれでもなんでもがん相談」。この日、対応したのは、国立がん研究センターの研修を受けた専門相談員でもある看護師ら三人だ。「抗がん剤の回数を減らしたいと言ったら、先生、気を悪くするかな」。消化器系のがんを患う七十代の男性が尋ねると、看護師が笑顔で「そんなことはないから大丈夫。思いは伝えた方がいい」と助言した。

 抗がん剤治療のつらさを主治医に言い出せず、悩んでいたと話す男性。通院先にも相談窓口はあるが、言った内容が主治医に伝わらないかが心配という。この日は二時間で十人が訪れた。

がんの種類ごとに細かく分類された書棚「闘病記文庫」=岐阜県多治見市の市図書館で

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 相談会は、昨年度からがんを含む医療や健康に関する資料収集に力を入れる同館が主催。国が指定する県内のがん診療連携拠点病院などでつくる協議会の協力を得て実現した。開催は一月に続き二回目。今後も数カ月に一度の割合で開く。同館資料支援課の熊沢克修課長補佐は「図書館を知ってもらう機会にもなる」と手応えを感じている。

 協議会から派遣された相談員で、公立陶生病院(同県瀬戸市)の看護師三浦なつ子さん(59)によると、がん診療連携拠点病院には、誰でも無料で使える「がん相談支援センター」がある。ただ、存在を知らない人も少なくない。同館ではこの日、センターの一覧を張り出し、PRした。

 図書館の強みは、大きな医療機関のない地域にも必ず設置されている点だ。各地の図書館をがん情報の発信基地にしようと、国立がん研究センターは二〇一七年八月から、がんに関する資料を贈る事業「がん情報ギフト」を始めた。寄贈を受けた全国の図書館は一九年七月現在、愛知県図書館を含め百八十八館に上る。

 寄贈先の一つで、患者目線の運営で注目されるのが岐阜県多治見市の市図書館だ。一三年から、当事者による闘病記専用の書棚「闘病記文庫」をつくった。同館の司書だった中島ゆかりさん(47)が、近くの県立多治見病院内の図書室と交流する中で「専門的な医学書だけでなく、患者の心を支える本も必要なのでは」と考えたのがきっかけだ。現在、約千三百六十冊をそろえ、半数ががん関連だ。

 がんの闘病記は、がんの種類ごとに分けられ、その分類は五十一にも。小児がん専用の棚もあり、そこも十一に分けられている。蔵書は職員が内容を確認してリストを作成。書名に「胃がん」「白血病」などの病名がなくても、検索用のパソコンに病名、「闘病記」と入れれば、それを扱った本が見つけられるようにした。司書の佐藤由紀さん(41)は「がんと知られたくない人もいる。職員に尋ねなくても目当ての本にたどり着けるようにした」と話す。

 書棚のそばには、がん情報ギフトの冊子や、支援団体のチラシなどを置くコーナーを設置。一七年からは毎月一回、患者らが集うサロンにも場を提供している。七年前に乳がんを患い、がんサロン「綿の実会」を開く鈴木伸子さん(60)は「図書館が、支え合いの場になっている」と話す。

教育イベントも

 医療機関と連携し、国が学校などで進めるがん教育の一端を担う図書館も。愛知県瀬戸市の市立図書館は昨年八月、がんについて学ぶイベントを小中学生向けに開催。隣接する公立陶生病院緩和ケアセンター長の沢田憲朗さん(54)ががん細胞の仕組みや生活習慣との関連などについて話した。今年も八月七日に予定しており、沢田さんは「子どもたちががんを知るきっかけになれば」と期待する。

 

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