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【元記者の心身カルテ13】酒飲み過ぎでも脚気に

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 きょうは鴎外忌。明治の文豪、森鴎外は医師の顔も持っており、日清・日露戦争には陸軍軍医として従軍した。二つの戦争で、戦死した兵隊の数を上回ったのが脚気(かっけ)による死者だ。原因を巡り、鴎外は感染症説を支持。海軍軍医高木兼寛の唱える栄養失調説と対立した。その後、精製した白米の支給がビタミンB1不足を引き起こし、それが脚気につながったと判明。栄養失調説に軍配が上がった。

 体がむくみ、心臓を患う脚気にかかるリスクは現代でもある。アルコール依存症は、食事などの不摂生からビタミン代謝異常が起こり、脚気の症状が出やすい。

 当院に通う八十歳の男性。繊維の仕事一筋で、楽しみは晩酌。だが、アルコールは医学的には薬物で、量が過ぎると不眠になる。男性も五十代から睡眠薬を常用し、酒で薬をのむのが日課に。ふらつきなど脚気の症状もあり、ついにろれつが回らなくなった。治療方針は断酒に、睡眠薬中止と明白だが、一筋縄ではいかない。付き添う妻に酒量などの管理を頼んだ。

 新聞記者時代、太宰治の桜桃忌の取材で鴎外の次女小堀杏奴(あんぬ)さんと出会った。鴎外を敬慕する太宰の墓は、鴎外の墓のはす向かいにある。白い薔薇(ばら)を太宰の墓前に供える杏奴さんと親交を深め、医学部合格を伝えた時、チョコを贈られた。そうだ、甘党の鴎外は酒を飲まなかった。 (心療内科医・小出将則)

 

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