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【元記者の心身カルテ12】 ADHDは好奇心の塊

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 アフリカで誕生した人類が世界に散らばり、生き物で最も繁栄した理由は、未知への好奇心がサルを圧倒的に上回っていたからだ。その延長線上にあるのが、二十世紀最大の偉業ともいえるアポロ11号の月面着陸。この道のりには、好奇心を常に失わない注意欠如多動症(ADHD)の人々の存在も大きい、と私は考えている。

 ADHDは発達障害の一つ。生まれつき、じっとするのが苦手で衝動的になりやすい多動タイプと、気が散りやすく忘れ物などが多い不注意タイプがある。成人後に分かる例が増え、うつ病や不安症などの精神疾患を抱えることも。病名を公表しながら活躍する芸能人やスポーツ選手もいる。

 「また、財布、電車に忘れちまった。へへっ」と診察室の扉を思い切り開ける三十代男性。子どもの時から、変わり者扱いされても自分流を貫いてきた。妻とは衝突が多く、別れた。今は運送会社に勤める。興味の向くことには集中力を発揮するため、特技の計算を武器に、係長に抜てきされた。「でも、管理職には向いてないよね。俺、サメだもん。動き回ってないと死んじゃう」と自嘲する。

 火が燃えるわけを知りたくて納屋を焼いたという発明家エジソンも、ADHDだったとされる。好奇心の塊のような彼らの特性が、人類の発展に貢献した例は少なくないだろう。 (心療内科医 小出将則)

 

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