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【元記者の心身カルテ10】「父親」を務めるのは重圧

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 母の日に比べて影の薄い父の日が過ぎた。シングルマザーは、いまや百万人という。果たして父親は要るのか?

 私のクリニックに通う五十代の男性と十代の息子。男性は高校を中退後に職を転々とし、三十歳で結婚した。しかし、十年ほど前に離婚。子どもを引き取り、父と子だけの生活が始まった。男性の受診のきっかけは、繰り返し仕事を辞める自分が嫌になり、気分が落ち込んだこと。一方、発達障害がある息子は、学校で級友とトラブルになったことから、教師の勧めで受診となった。

 「子育ての重圧がのしかかる。母親がいなくてきつい」と男性。息子の弁当作りを続けながら、眠れぬ日々を酒とたばこで紛らわすのは限界だった。息子を一時入院させたことを機に状況は好転した。父子ともに気分の波はあるが、息子はスポーツを始めるなど、症状はそれぞれ落ち着きつつある。

 ゴリラ研究で有名な山極寿一・京都大学長の著書「父という余分なもの」。その中で説かれるのは、人間の男が「父親」になる過程だ。多くの動物は父親なしで生きる。人間の男と子どもとの間にも出産・授乳といった生物的なつながりはないが、女からパートナーに選ばれ、さらに子からも親として認められるという「二重の選択」を経て、ようやく父親になれる。男はつらいよ。 (心療内科医 小出将則)

 

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