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医療

爪水虫 治療遅れで全身に増殖も 感染防止足裏を清潔に

プール、ジム…帰宅後洗う

 気温と湿度が上がるこの時季、活発に動き始めるのが白癬(はくせん)(水虫)菌だ。日本皮膚科学会によると、足水虫の患者は国内に約2200万人、菌が足の爪に入り込む爪水虫の患者は約1100万人いると推計される。「たかが水虫」と放っておくと、全身の皮膚に広がることも。正しい予防と治療の方法を専門家に聞いた。(北村麻紀)

水虫菌によって発疹が広がった背中(常深教授提供)

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 男性の背中に広がる発疹。水虫菌が背中にまで増殖したことによる症状だ。水虫菌は皮膚の角質に含まれるケラチンというタンパク質を食べるカビの一種。診断には患部の角質を採取し、顕微鏡で水虫菌の有無を確認することが必要だ。水虫というと、足の裏に赤みやかゆみなどが出る足水虫の印象が強いが、尻や顔、陰部に及ぶ例もあるという。

 足の水虫菌が爪の中に入り込んで増え、爪が白く濁ったり分厚くなったりするのが爪水虫だ。皮膚疾患に詳しい埼玉医科大教授の常深(つねみ)祐一郎さん(44)は「水虫菌にとって足の皮膚は活動の中心となるベースキャンプで、爪は登頂目標」と例える。足の裏の水虫菌は患者が歩くたびに角質と一緒にはがれ落ちるが、硬い爪の内部に侵入すれば、そこが「安住の地」に。そして、今度は爪を起点に全身に広がっていく。怖いのは免疫力の弱った糖尿病患者らが爪水虫になった場合だ。爪が厚くなって食い込んだりじゅくじゅくしたりしたところから雑菌が入ると、足の組織が壊死(えし)し切断につながる危険もある。

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 爪水虫を防ぐには、まずは足水虫に感染しないことが肝心だ。感染する場所で多いのは大浴場やプール、ジムといった公共のスペース。患者の足からはがれた皮膚のかけらに水虫菌が付いているからだ。ただ、感染力は弱く、十二〜二十四時間以内に取り除けば防げるという。「公共施設から帰宅したら、足の裏を必ずシャワーで洗い流すことが大事」と常深さんは言う。

 家族の間でも注意が必要だ。「もし水虫の人がいたら、同じ足拭きマットやスリッパは使わないで」。掃き掃除や拭き掃除をこまめにし、水虫菌が床にない状態を心掛けることも効果的だ。指を一本ずつ包む五本指ソックスをはくのもいい。汗を吸い取りやすく、菌繁殖の原因になる蒸れを防ぐことができる。

 それでも、足水虫や爪水虫になったらどうするか。皮膚科で検査を受け、適切な治療を受けることが第一だ。足水虫は塗り薬で菌を殺したり増殖を抑えたりできる。症状が出ていない部分でも菌がいる可能性があるため、指と指の間や土踏まず、かかとなど足の裏全体に塗るのがこつだ。

 一方、薬を患部に直接塗りにくい爪水虫は、ごく初期を除き、飲み薬で完治させる必要がある。菌がいなくなって健康な爪に生え変わるには半年〜一年以上かかるという。足水虫も爪水虫も清潔に保つことが大事だが、強くこすると皮膚が傷ついて雑菌が侵入しやすくなるため、石けんの泡で包み込むように、優しく洗いたい。見た目がきれいになっても菌が残っていれば再発、増殖を繰り返す。「治った、と自分で早合点せず、根気強く治療を続けて」と常深さんは呼び掛ける。

 

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