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医療

【ホンネ外来発】休日診療「8時間待ち」 善意の当番医「負担限界」

緊急性低い受診も一因

 二月二十六日付「ホンネ外来」で紹介した投稿「インフル 8時間待ちで受診断念」。休日当番医のクリニックが患者であふれ、受診できなかった状況を伝えた。本紙には「同じような目に遭った」との声が寄せられた一方、医師や看護師からは「休日当番医は過酷。医療機関の事情も分かって」と理解を求める意見もあった。間もなく十連休。混乱を防ぐには? (花井康子)

 投稿したのは、石川県の女性(53)だ。一月末の日曜に発熱し、激しい悪寒と喉の痛みがあった。インフルエンザを疑い、休日当番医の内科クリニックへ。しかし、「八時間待ち」と言われ、受診を諦めたという。「休日、しかもインフルエンザが大流行していた時期。仕方のない部分はあるが、何らかの対応はできないのか」と意見を寄せた。

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 愛知県内の男性(46)からも似たような訴えがあった。昨冬の休日、三八度を超える熱で近くの当番医の内科クリニックへ行ったところ、最終受け付けの時間前だったにもかかわらず「インフルエンザの人が多く、診きれないので早めに締め切った」と断られたという。

 一方、医療関係者からは現場の過酷さを嘆く声が。今年一月の日曜、休日当番医を務めたという愛知県内の内科開業医の男性は「インフルエンザの患者が詰めかけ、食事も取れずトイレ以外は休憩もなし。本当に大変だった」。診療開始前の午前八時半ごろから患者が並び、通常の二・五倍もの人が受診。時間内に受け付けを済ませた人の診療は夜十時まで終わらず、看護師ら他のスタッフも立ちっ放しで仕事をこなした。「水分を取る暇もなく、脱水症状を心配するほど」と看護師長。近隣では、朝から翌日未明まで診療が終わらなかったクリニックが何軒もあったという。

 これほど大変でも翌月曜は通常通り開院しないといけない。当番は、二、三カ月に一度、回ってくる。男性によると、当番医の報酬は休日一日当たり二万円程度。スタッフへの休日手当などを考えると決して多くない。「善意で協力しているが限界」と言う。

 こうした大混雑を招く原因の一つが、軽症で緊急性がない患者が受診を求める「コンビニ受診」だ。例えば、インフルエンザでも、水分を取って安静にしていれば、一日待って、かかりつけ医にかかっても命に関わるようなことは少ない。だが、受診者の中には「家族に患者がいるので(症状が出ていない)きょうだいや親も検査を」などと安易に当番医の元にくる人が少なくない。また、症状がそれほど重くなくても「インフルエンザという診断書がないと翌日休めない」といった理由で来院する人も目立つという。

 男性は「医師は休日を返上している。『当番医はいるのが当たり前ではない』と分かってほしい」と訴える。

軽症なら平日の時間内に

 休日や夜間に比較的軽症の救急患者を受け入れることを目的とした開業医による「在宅当番医制度」。自治体と郡や市の医師会が協約を結び、会員の医師が輪番で担当する仕組みだ。厚生労働省によると二〇一七年三月末現在、全国六百地区で導入されている。例えば、愛知県では地域の位置関係などを基に、県内を二十七地区に分けて初期救急医療体制を敷いており、うち十八地区で当番医制を取り入れている。

 当番医が回ってくる頻度は地区によって差がある。医師の数が不足している地方ではどうしても負担が大きい。小児科や内科など需要の多い診療科に当番が偏りがちなのではないかという指摘もある。医師にとっては、当日のスタッフ確保も悩みの種だ。

 大分県では昨年二月、津久見市の四十代の男性医師が、市医師会が当番医制度を会員に強制するのは違法として、大分地裁に提訴した。市医師会が一昨年七月、当番医について「特段の事情がない限り、受けなければいけない」という規定を決議したことを受けたものだ。今年三月、医師会が制度の在り方を検討することなどで和解したが、課題を浮き彫りにした。

 特別料金を取る、受診は住んでいる地区の当番医に限る−など、医師の負担を軽くするための方法を求める声もある。しかし、医療費が高くなると、患者が受診をためらう原因に。また、当番医制度を含め休日・夜間の医療体制が手薄な地域もあるため、地区ごとの受診を厳格化すると、患者が重症化する恐れもある。

 医師法で、医師は正当な理由なしに診療を拒むことはできないと定められている。大事なのは、受診する側が常識を持って行動すること。愛知県の担当者は「休日や夜間の体制は医師らの善意で支えられている。軽症の場合は時間内の受診を」と呼び掛ける。

 四月末からの十連休は混雑が予想される。持病がある人は薬をもらっておくなど、前もってかかりつけ医に相談しておくことが必要だ。厚労省などがホームページで公開している各自治体の医療体制リストも参考になる。

 

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