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医療

【元記者の心身カルテ4】消化管が神経管の「先輩」

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 平成も残りわずか。天皇陛下の退位を前に思い浮かぶのは宮内庁担当記者だった昭和最後の日々。

 一九八八(昭和六十三)年九月、昭和天皇が吐血した。一年前に手術した腸からの出血だった。それから崩御までの百日余り、皇居の宮内庁庁舎に休みなく交代で泊まり込んだ。来る日も来る日もご容体データが紙面に載り、「下血」という言葉が広まった。覚えているのは、側近が「少しでも口から」とくず湯を与えたところ、刺激で下血してしまったエピソード。腸の機能をにわか勉強した。

 ヒトの卵子が受精して最初にできるのが腸だ。肛門から管が延び、口までひと続きの消化管に沿って神経管がつくられ、その終末が脳になる。つまり、頭よりも尻の方が「先輩」で、脳と腸は神経伝達物質を介して影響し合う形。学校や職場が嫌で、朝、おなかが痛み出したら思い起こしてほしい。

 この関係の結果、生じるのが潰瘍性大腸炎。下血を伴う下痢や腹痛などが起こる。原因不明の難病だが、ストレスも一因となって腸の免疫が崩れるため、心身症の代表とされる。発症の割合は千人に一人。安倍晋三首相も闘病中だ。

 昭和初期、俳人の中村草田男は二つ前の明治時代を懐かしく思って句を詠んだ。それにならって、昭和から平成を経て令和時代になる今、一句。「行く春や昭和は遠くなりにけり」 (心療内科医  小出将則)

 

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