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医療

外国人がん患者会結成  名古屋・デービスさん闘病の思い共有

母国語で支え合います

 重度のすい臓がんで闘病する英国人のサイモン・デービスさん(62)=名古屋市名東区=が、外国人がん患者のための患者会「東海キャンサーサポート・エバーグリーン」を結成した。患者同士が体験を語り、支え合う「ピアサポート」で、日本語が苦手な外国人に的を絞った取り組みは全国でも珍しい。十九日に同市千種区の愛知県がんセンターで、設立会を開く。 (編集委員・安藤明夫)

抗がん剤を点滴中の渡辺さゆりさん(右)と、設立の打ち合わせをするサイモン・デービスさん=3月、名古屋市千種区の愛知県がんセンターで

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 デービスさんは来日して三十四年。同市内で英会話を教えていたが、二〇一七年三月、突然、腹痛に襲われた。診断はすい臓がん。肝臓にも転移しており、最初にかかった病院で「余命三〜六カ月」と宣告された。その後、受診した愛知県がんセンターで抗がん剤による治療を提案され、二年たった今も続けている。

 両足のまひや吐き気といった薬の副作用に加え、日本語が母語ではないデービスさんを苦しめたのは「疎外感」だ。受診の際、医師は通訳役の妻、洋子さん(59)に顔を向け、日本語で説明することが多かった。「病気の自分は置いてけぼり。自分の訴えがどう伝わっているか不安だった」

 そうした中、昨年十一月、愛知県がんセンターで元英語講師の渡辺さゆりさん(49)=長野県飯田市=に出会った。渡辺さんは大腸がんが肺に転移し、進行度はデービスさんと同じステージ4。英語が堪能な渡辺さんとの会話は大きな勇気になった。「患者にしか分からない思いを共有できた」とデービスさん。「頭がもやもやすると医師に伝えても『薬の副作用情報には載っていない』と言われるだけ。でも、さゆりは『私もそう』と共感してくれた」

 当時、渡辺さんは地元でピアサポートの会を立ち上げたばかり。デービスさんは「自分も患者会をつくり外国人患者の役に立ちたい」と一念発起した。「エバーグリーン」は英語で「常緑樹、不朽」の意味。「森林浴のような場に」の思いを込めた。設立後は毎月一回、愛知県がんセンターでおしゃべりをしたり情報交換したりする。がんの種類や進行度は問わない。当面、会話は英語だが、将来は多言語対応を目指す。今後作るホームページではポルトガル語、タガログ語、中国語でも参加を呼び掛ける。

 渡辺さんは副会長に就任。本紙医療面で「舌はないけど」を連載中で、やはりがんを患う荒井里奈さん(44)=岐阜県下呂市=も運営に参加している。デービスさんは「国や言葉が違っても悩みは同じ」と多くの人の参加を期待している。

 設立会は十九日午後二時から、愛知県がんセンター一階の国際医学交流センターで。申し込みはEメールtcs-evergreen@outlook.comへ。

患者に大きな力

 ピアサポートを研究する大野裕美・豊橋創造大准教授の話 当事者同士で悩みを分かち合い、問題を乗り越えるピアサポートは、患者にとって大きな力になる。今後ますます外国人が増えることが予想される中、全国で同様の取り組みが広がってほしい。

 

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