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希少疾患の知識 広がれ  28日は啓発の日 

 二十八日は世界で希少疾患や難病を啓発する「Rare Disease Day」(世界希少・難治性疾患の日=RDD)。病気の周知や治療の推進を目指し、国内外の各地で啓発イベントが開かれる。病名が知られておらず、正しい知識が広がっていないため、診断や治療が遅れるケースもあり、患者や医師らは「市民が病気を知るきっかけになれば」と期待する。 (小中寿美)

早期診断で治療につなぐ

 三重県桑名市の会社員大柄(おおがら)嘉宏さん(51)は三十四歳のとき大動脈解離を起こし、遺伝子変異で細胞の結合組織が弱くなる「マルファン症候群」と診断された。

 指定難病で、心血管や骨格、目や肺など全身に症状が出る。高身長や細長い指、気胸、近視など現れ方はさまざま。特に心疾患は命にかかわるおそれがあり、以前は三十〜四十代での突然死も多かった。

患者会で作った資料を手に、病気への理解を呼び掛ける大柄さん=名古屋市内で

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 大柄さんの父は四十八歳のときに大動脈瘤(りゅう)破裂を起こし、急逝。医師からは「あなたも気を付けて」と言われたが、病名は告げられず「どう気を付けたらいいか分からなかった」。十六年前に自身が診断されて初めて、「父も同じ病気だったのでは」と気付いた。

 三カ月後に仕事復帰した後、患者会「日本マルファン協会」(同市)に参加。定期検査を受けながら、啓発や相談にも取り組む。現在は、早期に見つけて生活に気を付けたり、適切な治療を受けたりして突然死のリスクを下げることができるといい、大柄さんは「情報発信し、患者や市民の理解につなげたい」。

 名古屋セントラル病院(名古屋市)血液内科の坪井一哉さん(53)は、長年治療に携わる指定難病「ライソゾーム病」の啓発を続ける。特定の分解酵素が欠けて体内に老廃物がたまる代謝異常の病気で、神経や目、耳、皮膚などの障害や心不全、腎不全を起こすこともある。

 同病院では十四年前から専門外来を設けているが、「医師にも十分には浸透していない」。手足の痛みを訴えて関節リウマチと誤診されたり、原因不明で病院をたらい回しにされたりすることもある。一向に症状が改善せずにインターネットなどで調べ、同院にたどり着く患者も多い。

 近年は、欠けている酵素を点滴で補充するなど治療法の開発が進む。進行を遅らせるには、早期の治療開始が必要。遺伝性で、診断を機に親族の病気を見つけられることもあるという。

 坪井さんは市民や医師向けの講演会を続けており、「病気を知っていれば、気付くきっかけになるはず」と話す。

スウェーデン発祥 日本でも10年目

 欧州連合(EU)では二千人に一人未満の割合で発生する疾患を「希少疾患」と定義。日本では、患者数が人口の0・1%程度以下で、治療法が確立されていないことなどを条件に、約三百三十の疾患を医療費助成対象の指定難病としている。患者数が少ない上に病気のメカニズムも複雑で、治療法の研究や開発が進みにくい。

 RDDは二〇〇八年、スウェーデンで始まり、病気がまれであることから、うるう年の二月二十九日、それ以外は二十八日に開催。日本では一〇年に民間団体が東京で初めて開いた。

 今年は四十六カ所で、患者団体や病院などが主催。東京大元助教で、事務局を担うNPO法人「ASrid」(アスリッド、東京)の西村由希子理事長(47)は「患者同士や市民がつながり、社会の理解が深まれば」。イベントは今週末から二十八日にかけ多く開かれる。内容は公式サイト「RDD JAPAN」に掲載。

 

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