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医人伝

往診サービス「家来るドクター」(名古屋市中区)発起人・医師犬飼遼さん(35) 夜間休日医療を充実

 多くの診療所やクリニックが休診になる夜間や休日。急に発病した患者の自宅まで医師が駆け付ける往診サービス「家来るドクター」を昨年六月、名古屋市内で始めた。きっかけは、日本の夜間休日医療への危機感と、救急病院で働いていたころの苦い経験だ。

往診時に使う薬や医療器具を確認する犬飼さん

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 研修医としての二年間を市内有数の救急病院で過ごした。夜間、待合室は軽症を含む急病患者で連日いっぱい。当直時、長時間待たされていら立った患者の家族に言われたことがある。

 こんなに待って、おまえみたいな若造に診られるのか−。

 確かに、当直は体力のある若い医師が担う例が多く、経験不足を不安視されがちだ。患者で混み合う待合室は二次感染のリスクも否定できない。医師会などが担う休日当番医制度も同じ課題を抱える。

 心をえぐられた言葉も、大切な家族を思うがゆえと、今は思う。だが、医師も患者一人一人と必死に向き合っている。「誰もが不幸な状況。何とか改善したいと思い続けていた」

 参考にしたのは、東京の医師が二〇一六年に設立した、夜間休日の往診に特化したクリニックと会社だ。同じ問題意識を持つ仲間の医師と協力。電話やメール、無料通信アプリのLINE(ライン)で症状を聞き、往診が必要と判断すれば、医療器具や薬を手に駆け付け、診察や検査をする。到着まで最短で三十分。「自分たちが軽症患者を診れば、重症患者を診る救急医療とすみ分けができる」と話す。

 名古屋市緑区出身。「町のお医者さん」を志し、自治医大を卒業した。専門は放射線科で、愛知県内の四つの総合病院で勤務経験がある。現在、サービスに協力する医師は十五人まで増えた。同市中区にクリニックを構え、自らは週に数回、夜間の往診に出る。「救急車の不要不急の出動抑制にもつながるはず」と自負する。

 利用者はまだ多いといえず、「手探り状態」だが、幼い子どものいる共働き家庭や、車がない高齢者らの利用が少しずつ増え、手応えを感じ始めた。往診で対応しきれない場合に備え、市内の医療機関と提携もしている。「夜間休日医療の新しい選択肢として定着させたい」

 往診可能エリアは同市内。医療保険が使えるが、交通費千円が必要。(問)同サービス=電052(680)9999 (安藤孝憲)

 

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