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医人伝

医療法人仁誠会大湫(おおくて)病院(岐阜県瑞浪市)児童精神科医関正樹さん(42) 親子に気付きの処方箋

 白衣の下にはキャラクターTシャツ、足元からはカラフルな靴がのぞき、丁寧で優しい語り口が患者の心をほぐしていく。発達障害や学習障害、場面緘黙(かんもく)症、不登校、ゲームがやめられない−。県内外から訪れるさまざまな悩みを抱えた親子に向き合う。その数一日三十〜四十組。「親戚のおじさんくらいの適度な距離感を大切にしている」

「親戚のおじさんくらいの適度な距離感を大切にしている」と話す関正樹さん

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 愛知県出身。高校生の時に精神医療の本を読み、「自分の人となり、たたずまいが問われる仕事」と精神科医を目指した。福井医科大(現福井大医学部)を卒業後、二〇〇四年から研修医として岐阜県土岐市立総合病院に勤務。不登校に悩む子や、救急外来で来院した子と接するうち、小児医療の道を志すように。名古屋大と愛知県豊田市こども発達センターで約二年ずつ、児童精神科医の研修を積んだ後、大湫病院に赴任した。

 親と会話しながら、これまでの子育てを振り返ってもらい、その苦労に共感することから始める。診療室に用意したおもちゃや絵本で遊ぶ子の様子を一緒に見て、成長ぶりを実感してもらう。「『こうあるべき』といった子育て観を押しつけるのではなく、会話をしながら気付きを得てほしい。答えは、患者さんの心の中にあるから」

 一五年からは、注意欠如多動症(ADHD)や自閉症スペクトラムの子を持つ親たちを招き、子どもとの関わり方を学ぶ「ペアレントトレーニング」を実施。病院スタッフも交えたグループワークで、子育ての苦労や喜びを語り合ったり、子どもをほめる練習をしたりしている。「カルテには子どもの名前が書かれているが、親や家族、地域が一体となって子育てすることが必要」。子育てなどをテーマにした月一回ほどの講演会で自身の経験を伝えるほか、保育士や教員を集めて悩みや課題を共有する場も設ける。「子育てを支援する人のやりがいを枯渇させないようにするのも、児童精神科医の大事な仕事」と力を込める。

 子育てに追い詰められた親による悲惨な事件は、全国で後を絶たない。「医師や保健師、保育士ら身近に相談できる人を見つけて頼ってほしい。自分のせいにしたり、抱え込んだりしないで」。診療室のデスクのマットの下には、これまでに接してきた子どもが描いた楽しげな絵が、びっしり並んでいる。 (斎藤航輝)

 

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