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 昭和伊南総合病院 消化器病センター長 堀内朗さん(58) 内視鏡検査の苦痛軽減

 国内では、肺がんに次いで死亡数が多い大腸がん。早期発見に有効な内視鏡検査の際に、がん化の恐れがあるポリープを切除して発症を防ぐ方法「クリーンコロン」の普及に力を注ぐ。先進地は米国だが、日本のパイオニアとして十一年前から取り入れている。「クリーンコロンの伝道師になりたい」と意気込む。

内視鏡を手に「消化器がんの死者をゼロに」と語る堀内朗さん

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 消化器、消化器内視鏡の専門医として、検査に伴う苦痛を和らげる方法を一貫して研究してきた。その「出発点」と位置づけるのが二〇〇四年に日本の学会で発表し、昨年九月にユニークな研究に贈られる米国のイグ・ノーベル賞に輝いた座位による検査方法。横たわった状態で医師が肛門から管を入れる従来の検査に対し、座った状態で管を挿入すれば痛みが少ないことを自らの体を使って証明した。

 厚生労働省によると、二〇一六年に大腸がんと診断された人は、男性が八万九千六百四十一人で胃、前立腺に次ぐ三番目、女性は六万八千四百七十六人で乳房に続き二番目に多い。信州大医学部を経て、一九九〇年から二年間留学した米国で最先端の内視鏡医療に触れ、「内視鏡検査が身近になれば救える命が増える」と実感した。

 患者の負担を減らすさまざまな取り組みの一つが、腹の中で内視鏡が動く不快感を抑えるための鎮静剤の使用。車で来院する人が大半という地域性を考慮し、何を、どれほど投与すれば、どのぐらいの時間で薬の効果が覚め、自分で運転して帰れるかをシミュレーターを使って検証。鎮静剤を使っても安全に日帰りができるようにした。

 クリーンコロンでは、スネアと呼ばれる輪っか状のワイヤをポリープの根元に引っ掛け、締め付けて切除する手法「コールド・ポリテクトミー」を採用。熱で焼き切る方法に比べて出血リスクが少ないことを確認し、二〇一三年に論文として発表した。内視鏡検査の先に透明なキャップを付け、大腸のひだを倒しながらポリープを探す方法で発見率も向上させた。

 二十年前に年五千件だった昭和伊南総合病院の内視鏡検査数は、一八年度に二万件を突破した。目指すのは「大腸がんをはじめとする消化器がんの死者ゼロ」。イグ・ノーベル賞受賞を「神様がくれたご褒美」と喜ぶ一方、「『もっと頑張れ』と次の使命を課せられた思い」と意を新たにする。 (長谷部正)

 

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