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医人伝

藤田医科大(愛知県豊明市)臨床研究コーディネーター宮田雅美さん(47)  臓器移植 啓発願い論文

 臨床検査技師の資格を持つ臨床研究コーディネーター(CRC)として、四年前から藤田医科大で働く。医師と患者の間に立ち、新薬承認のための治験などを円滑に進めるのが役目だ。

仕事の傍ら大学院に通い、臓器移植の授業内容を調べて論文にした宮田さん

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 その傍ら、今年三月までの三年間は、同大大学院の学生として、以前から興味のあった臓器移植について学んだ。臓器移植が日本でなかなか進まない原因には、学校教育での啓発不足があるのではないかと考え、高校での授業内容を調べ、修士論文にまとめた。

 試験を重ね、新薬が国の承認を得るまでには、短くても四年ほどと長い月日がかかる。患者の安全を守るには重要な手続きだが、「今この瞬間、目の前で苦しんでいる人を救うことはできない」と、ずっともどかしさを感じていた。一方、臓器移植は、臓器の提供があれば、すぐに治療ができ、効果も出るところに引かれた。

 大学院時代は、CRCの仕事が終わる夕方から講義を受け、休日も勉強に没頭した。同大病院で臓器提供と臓器移植が同時に行われた際には、実習の一環で、現場へ。提供側、受け取る側双方の家族の思いを聞くことができ、命をリレーする移植の意義を、身を持って感じた。

 今、日本臓器移植ネットワークに登録している移植希望者は約一万四千人。しかし、実際に移植手術を受けられる人は年間約四百人。その割合は、米国の約十分の一と極めて低い。その理由を学校での教育に求め、修士論文では高校で使われる現代社会と倫理の教科書、資料集の計二十二冊の記述を分析した。

 その結果、移植法や脳死の定義についてはほぼ全てに説明がある一方、「子どもは(脳死判断後に)生き返ることがある」などと誤った記述も。「正しく理解するには不十分な内容」と断言。教員への聞き取り調査では、伝える内容が正確かどうかといった不安を抱えていることも分かった。論文の内容は移植医療の学会で発表。「出前授業をするなど、もっと積極的に学校教育に関わるべきだ」と訴え、参加者の共感を呼んだ。

 「命を救いたい、患者や家族の心に寄り添いたい」という思いは、CRCの仕事も、臓器移植の現場も同じだ。今はCRCの仕事に全力を傾けながら、将来的には何らかの形で臓器移植にも関わることを願う。 (小中寿美)

 

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