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医人伝

 静岡がんセンター(静岡県長泉町)小児科部長石田裕二さん(52) がんAYA世代を支援

 がん患者のうち、主に十五〜二十九歳の人を指す「AYA世代」。英語で思春期・若年成人を意味する言葉「Adolescent and Young Adult」の頭文字だ。二〇一五年、AYA世代の患者を診療科をまたいで集め、治療や心のケアを行う国内初の専門病棟を開設。「AYA世代の治療や支援のノウハウを積み重ねたい」と力を込める。

「AYA世代のがん患者への支援が大切だ」と話す石田裕二医師

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 横浜市出身。親族など身近に医師が多かったことから、自身も医療の道を志した。栃木県にある自治医科大での学生時代、がんに関心を持ち、卒業後は神奈川県立こども医療センターで小児がんの治療に尽力。二〇〇二年、静岡がんセンターの新設に伴い、小児科での治療を担うようになった。

 一般的に、小児科の治療対象は十四歳以下。十五歳を超えると、脳腫瘍は脳神経外科、白血病は血液内科などと、がんの種類によって振り分けられる。しかし、AYA世代病棟は小児科と整形外科、血液内科の一部を集約。診療科縦割りによる弊害をなくし、小児からAYA世代まで、あるいはそれ以降の世代までを継続的に診られる体制を実現させた。

 背景には、小児や中年以降の成人に比べて、AYA世代のがんは、治療の研究や支援が遅れていることがある。国内の患者数は五千人ほどと少なく、病棟でも孤立しがちだ。闘病の時期が進学や就職、結婚といった人生の節目に重なる他、再発や生殖機能の低下などの不安も抱える。

 病棟では、治療に当たる医師や看護師に加え、患者や家族の不安を和らげるチャイルド・ライフ・スペシャリストら専門のスタッフが心のケアを行う。患者が学生なら、復学支援も重要な課題だ。学校関係者にセンターに来てもらい、本人を交えて復学について話し合う機会を設けている。戻る場所があることは、患者にとって、治療を乗り越える大きな力になる。

 患者同士の交流を促すことにも心を砕く。病棟にあるプレイルームでは月一回の食事会を開催。センターでがん治療を受けた若者を招いての座談会も定期的に開いている。座談会では、治療への思いや恋愛のことなど、当事者同士だからこその本音が飛び交う。「病気を乗り越えた人と交わることで、患者は自分もこうなれると勇気づけられている」 (河野紀子)

 

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