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医人伝

樋口病院健診センター(愛知県豊川市)健診センター長樋口俊哉さん(38) 女性目線で快適さ追求

開放的なロビーで予防医療の大切さを話す樋口俊哉さん

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 「定期的に健診を受ける気になってもらうため、居心地の良い施設を目指した」。病院を改装し、二〇一八年四月に新設した健診センターのロビーは、吹き抜けで明るく、まるでホテルのようだ。職員には「帝国ホテル並みのもてなしの心」で、受診者と接するよう指導する。

 センターの特徴の一つが、乳がんや子宮がんといった女性特有の病気を調べるレディースエリアを設けたこと。専門の医療機関が市内には少ないためだ。企業健診の機会がない主婦らの受診率を上げる狙いもある。「相手が男性だと気後れする」という声に配慮し、センターで働く医師や検査技師、看護師ら二十数人は全員女性にした。

 さらに検査に臨む際の緊張感を和らげようと、乳がんを見つけるためのマンモグラフィーや子宮がん健診を受ける部屋の壁は花柄に。託児所を設け、子連れでも来られる環境を整えた。女性職員の意見を基に、徹底した「女性目線」を貫いた。

 工夫は男女共用エリアでも。採血コーナーで使う椅子は背もたれを大きくし、気分が悪くなった場合も転げ落ちるのを防ぐ。各部屋のベッドは寝心地の良い低反発マットレスを使用。「本当に寝てしまう人もいます」

 残念ながら、豊川市民の健診受診率は低い。例えば、生活習慣病予防のため四十〜七十四歳を対象に行われる国民健康保険特定健診の受診率は一七年度、36・5%と、県内で低い方から七位だ。健診を重視する背景には、二十六歳から五年半にわたって働いた愛知県豊橋市民病院で出会った二人の患者への思いがある。胃がんの男性と膵臓(すいぞう)がんの女性で、共に六十代。内視鏡検査でがんを発見したが、二人とも既に末期だった。回診に行くと、食べ物の話で盛り上がり、次第に打ち解けた。しかし、死は避けられなかった。

 樋口病院は、軍医だった大阪出身の祖父が一九五〇年に開業。「戦後すぐの医者不足の時代、内科も外科も産科も全部引き受けたと聞き、尊敬している」。後を継いだ現院長で、消化器外科医の父からは医師の誇りを学んだ。「学生のころ、椅子に掛けてあった白衣の裾を、ほんの少し尻の下に敷いて座ってしまっただけで随分叱られた」

 今は、健診センター長と副院長を兼務。専門は消化器内科で、肝臓の専門医だ。「早期に発見すれば助けられる命がある」(花井康子)

 

 

 

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