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心臓血管センター金沢循環器病院(金沢市)循環器内科部長寺井英伸さん(52) 新手術普及にやりがい

カテーテルを使った大動脈弁狭窄症の手術について語る寺井英伸さん

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 「劇的に患者さんが良くなるんですよ。ぜいぜい言っていた人が翌日、普通に歩いている」。新たな治療に取り組む循環器の医師としてやりがいを語る。

 心臓の血流を調整する大動脈弁が硬くなり、動きにくくなる「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」。脚の付け根から動脈に細い管状のカテーテルを心臓まで通し、人工の生体弁を膨らませて留置することで、正常な血流を取り戻す治療を昨秋導入した。

 石川県内で行える医療機関は、金沢循環器病院が二施設目だ。メスで開胸する外科手術に比べ患者の負担が少なく、「開胸手術ができない人を多く救える」と治療の可能性を探る。

 大動脈弁狭窄症は軽いうちは自覚症状がほとんどない。だが、急速に悪化するケースも多く、重度になると息切れや動悸(どうき)などを起こし、失神や突然死の恐れもある。

 投薬で進行を遅らせることができるものの、治すには手術が必要。だが、体力面などから開胸手術が可能な患者は全体の六割とされる。

 だからこそ、患者への負担が比較的少ないカテーテル手術にかける期待は大きい。手術時間は一〜二時間で、開胸手術の五〜六時間より短い。入院は約一週間で済み、開胸手術より二週間ほど短縮できる。

 ただ、カテーテル手術は比較的新しい治療法で、合併症などのリスクがどの程度あるのかが十分に分かっていないという。現在は、開胸手術に耐えられない患者に限り行うという学会のガイドラインもあり、同病院での実施数は数例だが、「術後の経過もいい。メリットは十分ある」と手応えを感じる。

 同県七尾市出身で、三歳から金沢市で育った。「高い志はなかった」というが、大学受験の時期に「社会に役立つ仕事で一番先に思い付いたのが医師だった」と金沢大に進んだ。選んだのは循環器内科。「症状が改善したり、悪化したりする区別が付きやすく、治療のしがいがある」

 「若いころには心不全といっても十分な薬もなかった」と振り返り、カテーテル手術のような新たな治療法の意義を実感。先行する欧米各国では適用例が増え、成果が年々上がってきているという。「若い人や重症でない人にも、近いうちに適用できるようになると思う」と手術が拡大していくことに期待する。 (村松秀規)

 

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