トップ > 特集・連載 > 医療 > 医人伝 > 記事

ここから本文

医人伝

小牧市民病院(愛知県小牧市)臨床工学技士 神戸幸司さん(57) 医療機器通じ命守る

 小児科の診察室で、しゃがんで向き合う相手は二歳の女児。無呼吸の症状があり、自宅で夜間に人工呼吸器を使うため、マスクのサイズを調整しようとしたが、女児は嫌がって装着しようとしない。「じゃあ、アンパンマンに着けてみようか」。ぬいぐるみの丸い鼻にマスクを当ててみせると、女児も笑顔で受け入れてくれた。

鼻マスクのサイズが合っているか、女児に装着して確かめる神戸さん

写真

 生命維持に必要な装置を扱う専門家で、「命のエンジニア」とも呼ばれる臨床工学技士。小牧市民病院臨床工学科の技師長として所属する技士十六人を束ねる。同科では、人工透析装置や手術室の人工心肺装置などを操作するほか、一万台近くある医療機器を点検し、管理する。

 一九八四年、藤田保健衛生大(現藤田医科大)を卒業し、採血や検査などを担う臨床検査技師に。四年後に臨床工学技士が国家資格として生まれると、「医療機器の進展に伴い、発展する分野だ」と感じ、初年度に資格を取った。

 初めは医療従事者にも職種の内容が知られておらず、「機械を直す『何でも屋さん』と思われていた」。壊れた目覚まし時計を持って来る人もいた。透析や呼吸療法など、治療分野や扱う装置によっても学会などにさまざまな民間資格があり、計五つを取得し、専門性を高めた。

 業務の中心だった透析では、取り出した血液を浄化させる際に使う透析膜の素材に習熟。血小板の固まりができて膜がつまりやすくなるなど、状態に応じて素材を変更し、別の治療法を医師に提案することもあった。

 在宅医療が進められる中で、退院時に自宅まで付き添い、人工呼吸器の設定の調整や操作方法を家族らに教える機会も増えた。「特に老老介護だと(装置がうまく使えないかと)不安が大きい」。退院後に訪問し、トラブルに対応したことも。「専門家として果たせる役割は大きい」と感じるが、これらの機器の訪問指導は診療報酬としては算定されず、関連の学会などで課題として訴えている。

 約千人の会員がいる愛知県臨床工学技士会の理事長も務める。認知度の向上を目指し、機器の操作を体験する催しや高校生の職場体験を通してPR。手術支援ロボットやカテーテル治療など機器の進歩は続き、活躍の場は広がると考える。刻一刻と変わる状況に応じ、「技術を習い、向上させるための教育も確立したい」。 (小中寿美)

 

この記事を印刷する

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索