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特集 防ごう!子宮頸がん

情報不足 子宮頸がん 接種決めかねる対象者ら

周知に努める自治体も

 国が積極的な接種呼び掛けを中止している子宮頸(けい)がんワクチンについて、中部九県の二十一市町村=地図参照=が接種対象者に個別に案内を送っていた。厚生労働省の調査では、対象年齢の女性の約六割が「わからないことが多く、決めかねている」「わからない」と回答。情報不足で当事者が立ちすくむ中、少しでも判断材料を提供するための取り組みが広がりつつある。(森若奈)

 「これってみんなやっているんですか?」「どうすればいいんですか?」

 中学一年になった対象者に案内はがきを送っている中部地方のある自治体には毎春、保護者から問い合わせの電話がかかってくる。はがきには、接種対象であることと、「積極的な勧奨は差し控えております」という一文を掲載している。

 子宮頸がんワクチンは二〇一三年に、定期接種となった後、接種後に体調不良を訴える報告が相次いだ。このため、国はワクチンを無料の定期接種としたまま、接種を促す「積極的勧奨」を控えるよう自治体に通知。日本脳炎など他のワクチンは予診票の送付やポスター啓発などが行われているが、子宮頸がんワクチンはほぼ行われていない。

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 一方、予防接種法は施行令で自治体に、対象者への接種期間や注意事項などの周知を義務づけている。冒頭の自治体のはがきもその一環だ。この自治体で接種しているのは、五年ほどはゼロ〜数人で推移。問い合わせに、担当者が副反応がニュースになったことや、接種者がまばらなことを伝えると、多くが「やめておきます」と答えるという。

 「積極的に勧めない」という国と周知義務の間で揺れる自治体。中部地方で個別の通知をしている他の自治体も、「『何も知らなかった』と機会を逃し、実費負担になってしまっては悪い」(静岡県西伊豆町)、「定期接種の位置づけは変わらない。打つ権利はある」(福井県美浜町)と本紙の取材に答えた。

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 厚労省が昨秋行った調査では、全国で少なくとも九十七自治体が個別通知を実施。だが、大半は何もしていない。「ワクチン接種について考える機会もなく、多くの人が対象年齢を過ぎているのでは」。産婦人科医で、富山県議の種部恭子さんは、指摘する。

 同省の別の調査では、十二〜十六歳の女子の45%が「わからないことが多いため、接種を決めかねている」と回答。ワクチンの意義と効果については38・8%が「知らない、聞いたこともない」と答えた。

 国は周知のためのリーフレットを作成し、ホームページなどで公開。だが、八月に厚労省で開かれた専門家らの会議では委員から「作っても、自治体で活用されていない」、「専門用語が多く、内容が分かりづらい」といった意見が出た。

 県が情報を分かりやすく伝えようとする動きも。岡山県は八月、産婦人科医と協力してワクチンの意義や効果、接種後に起こり得る症状などをまとめた保護者向けのリーフレットを製作。子宮頸がんで若くして子宮を摘出した女性の実話を紹介し、接種後に心配な症状があった場合の相談窓口も明示した。

 県内には、個別に通知している市町村はなく、岡山県保健福祉部の中谷祐貴子部長は「ワクチンが知られていないのでは、という危機感がきっかけになった」と話す。今後、五万部を県内の中学、高校などを通じて配布する。

     ◇

【子宮頸がんワクチン】性交渉で感染し、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を防ぐワクチン。70カ国以上で定期接種の対象となり、日本では小学6年から高校1年相当の女子が計3回受けられる。国内では子宮頸がんで年間約2700人が死亡。厚労省は、接種によって10万人当たり595〜859人の罹患(りかん)を回避できると推計。一方、2017年8月末までに報告された副反応の疑いは10万人当たり92・1人、うち52・5人が重篤と判断された。

ご意見を募集します

子宮頸がんワクチンに関する意見を募集します。下記の医療取材班のあて先へ、郵送かファクス、メールでお寄せください。

iryouhan@chunichi.co.jp

〒460 8511(住所不要)中日新聞医療班

ファクス=052(222)5284

 

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