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特集

事故8年、遠い廃炉 福島第一ルポ

◆建屋付近 いまだ高線量

◆燃料デブリ除去 不透明

報道機関に公開された福島第一原発の構内。1号機の原子炉建屋上部にはがれきが残る=5日(代表撮影)

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 二〇一一年三月の東日本大震災で未曽有の事故を引き起こした東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の構内が五日、日本記者クラブ加盟の報道機関に公開された。事故からまもなく八年となるが、原子炉建屋付近ではいまだ高線量のまま。1〜3号機には溶け出した核燃料(燃料デブリ)が残り、取り出す見通しも立っていない。

 一日に四千人ほどの作業員が働く第一原発。構内は汚染度に応じてエリアごとに装備が分けられるが、全体の九割以上は、マスクや一般の作業着のみで行き来できるという。記者らも同様の軽装備だったが、線量計が配られ、東電担当者から「女性は子宮の周囲に線量計を付ける必要があります」と指示を受けた。

 構内は専用バスで移動。まず、1〜4号機から百メートルほど離れた高台を訪れた。水素爆発した1、3、4号機は事故当時、原子炉建屋上部が吹き飛び鉄骨がむき出しになっていたが、3号機は鉄骨が撤去され、昨年二月にかまぼこ形のカバーが取り付けられた。使用済み核燃料をプールから取り出すために設置され、三月末の作業開始を予定する。4号機も真新しい鉄骨で支えられ、内部は見えない。

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 1号機は今も原子炉建屋上部がむき出しで、鉄骨の内側にがれきの山が見える。現在は大型クレーンを遠隔操作して撤去している。

 2号機の原子炉建屋はそのまま残る。しかし建屋内部は四つの中で最も高い放射線量で、格納容器内では毎時七〇シーベルトとなる部分もあり、死に至るとされる線量を大幅に上回る。

 実際に2号機と3号機の間の路上では、ピーピーという線量計の音があちこちから聞こえた。毎時〇・三五ミリシーベルトは高台の三倍以上。三時間その場にいれば、一般人の年間被ばく限度の一ミリシーベルトを超えてしまう。「ここでの取材は手短に」と担当者に促され、五分程度でバスに戻った。

 原子炉建屋の西側には、放射性物質を含む水を貯蔵した高さ約十メートルのタンクが約千基立ち並ぶ。汚染水の総量は百十万トン。空き地だった土地を利用しているが、一週間から十日ごとにタンクが一つずつ増えているという。汚染水の最終処分の方法は決まっていない。

 1〜4号機の周りは、地下水の流入を防ぐ凍土遮水壁で囲まれている。担当者は地下に設置された遮水壁のパイプを見せながら「汚染水の増加防止に効果が高い」と強調した。

 約一時間の取材で、記者の被ばく量は〇・〇四ミリシーベルト。胸のエックス線検査程度だった。完全な廃炉の見通しについて、担当者は「三十〜四十年後が目標だが、1〜3号機のうち、どれから燃料デブリを取り出すか今も決まっていない」と話した。

 (天田優里)

 

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