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進撃のドラッグストア

(5)ナゴヤ商圏 巨大市場、戦い本格化

名古屋・栄の中心地に店を構えるココカラファイン。右奥は松坂屋名古屋店本館=名古屋市中区栄3で

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 名古屋市を中心とした一帯。愛知、岐阜、三重の東海三県をほぼ覆う半径百キロの圏域は「グレーター・ナゴヤ」と称される。一千万人超の人口を抱え、産業生産力は一国に匹敵する。

 そんな恵まれた市場に根を下ろし、発展してきたドラッグストアが、愛知のスギ薬局と岐阜のV・ドラッグだ。それぞれの県で出店数ナンバーワンの座に君臨している。

 ナゴヤ圏で蓄えてきた力は地盤の強化に飽き足らず、ほかの地域への攻勢に振り向けられている。スギ薬局が関西地方に出店を始めたのは二〇〇二年。今では店舗数、売り上げ規模とも関西トップを誇り、関東地方にも店舗網を広げている。一方のV・ドラッグは愛知や静岡、北陸に進出、岐阜県内の店舗数の二倍にまで伸ばしている。

 ナゴヤ圏という市場。一般的には「保守的で、よそ者は入り込めない」というイメージが強い。さてどうなのか。名古屋学院大の江口忍教授は「他の地域の企業が勝負できない、というのは都市伝説」と断言する。

 一例が、コンビニエンスストアだ。黎明期の一九八〇年に名古屋市に一号店を出したサークルKは、拡大を続け、ナゴヤ圏で圧倒的なシェアを誇った。〇四年には同業のサンクスと合併、最盛期には全国で六千店以上を展開した。

 地位を揺るがされたのは、足元からだった。中でも最も攻勢が強かったのが、〇二年に愛知初進出した最大手セブン−イレブン。ライバル店のそばにどんどん店を出す戦略で、客を奪い取っていった。

 守勢に回ったサークルKは三強のファミリーマートに吸収され、昨年十一月末で全店が姿を消した。そもそもサークルKの親会社で、地方スーパーの雄だったユニー(名古屋市)も、厳しい販売競争に苦戦した末、今月四日、ディスカウント大手ドンキホーテホールディングス(東京)の子会社になった。

 百貨店業界を見てみよう。名古屋の百貨店と言えば長らく、松坂屋、三越、名鉄、丸栄の「4M」だった。「黒船」のジェイアール名古屋高島屋が、名古屋・名駅に開業したのは〇〇年。あれよあれよと業績を伸ばし、一五年にはとうとう、松坂屋が守ってきた「地域一番店」の座を奪った。丸栄は昨年六月、七十五年の歴史に幕を下ろした…。

 豊かなナゴヤ商圏、特に愛知と岐阜は今、ドラッグストア業界にとって全国一の激戦区となっている。「地場の勢力が強固に見えて外からの進出が遅れたため、小売業界にとって最後に残った巨大市場」(江口教授)だからだ。

 北からは石川のクスリのアオキ、福井のゲンキー、西から福岡のコスモス薬品、首都圏からはココカラファインやウエルシア薬局。都心の真ん中にも、地方の郊外にも、すごい勢いで看板を出している。愛知県だけ見ても一七年に六十三店が新規出店した。

 迎え撃つスギ薬局は、健康を保ったり病気を防いだりする「町のかかりつけ薬局」の役割を前に出す戦略だ。V・ドラッグは、スーパーのバローやスポーツクラブのアクトスと併設させるなど、グループ力を生かした出店で特徴を打ち出そうとしている。戦いが本格化するのはこれからだ。

 <ナゴヤ圏> 名古屋市を中心とした愛知、岐阜、三重の東海三県でみると、人口は合わせて約1100万人で、日本の人口の約1割を占める。面積は2万1569平方キロメートル。2015年度の地域内総生産額は約55兆円で、これも国内の1割に相当、海外でみれば、ポーランドやベルギー一国と同じ規模に当たる。

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