トップ > 特集・連載 > 進撃のドラッグストア > 記事

ここから本文

進撃のドラッグストア

(4)群雄割拠 食品や美容、特色磨く

「V・ドラッグ」の近くにオープンした「コスモス」=岐阜市又丸で

写真

 「うどん一玉八円」「食パン五枚切り六十九円」−。「地域ナンバーワンプライス」とうたう派手な店頭広告の横に、ずらりと安売り品が並ぶ。ニンジンやキャベツ、鶏もも肉といった生鮮食品もそろっていて、スーパーの食品売り場と見まがうほどだ。

 岐阜市北西部の又丸地区にあるドラッグストアの店内。住宅街の道路沿いには五百メートルほどにライバルの五店が立ち並ぶ。この一帯では各社が、これでもかと安さでつばぜり合いをする。業界では天下分け目の「関ケ原」にも例えられる、全国屈指の激戦地区だ。

 岐阜や愛知への進出を強めている福井のゲンキーや石川のクスリのアオキの北陸勢は、郊外型の大きな店を中心に展開するのが得意で、特にスーパー顔負けの生鮮食品の品ぞろえに力を入れている。

 クスリのアオキは、グループ全体の売上高に占める食品の比率が四割ほどに上る。青木宏憲社長は「強みである生鮮や飲料など食品の割合をこれからも高めて、特色を出す」と語る。

 医薬品以外にもさまざまな商品を扱うドラッグストアの業態は、もともと米国が発祥。米国でもコンビニエンスストアのような品ぞろえが進むが、生鮮食品まで扱うのは日本独自の「進化」と言える。

 「安さ」でがっしりと客を囲い込み、ドラッグストアは急成長を続けてきた。ただ、出店攻勢が互いに厳しくなればなるほど、値引き合戦も過熱する。ただでさえ、高齢化に人口減少が進めば、限られた客というパイは小さくなっていく。

 「それほど長く続かない」。岐阜を地盤にV・ドラッグを展開するバローホールディングスの田代正美会長兼社長が語るように、業界内では、安さばかりを競うチキンレースのような商法は立ち行かなくなる、とみられている。

 安値競争でもうけが薄くなるのを避けるため、成長分野に力を注ぐ取り組みは大きくなっている。大手マツモトキヨシは、化粧品やサプリメントのプライベートブランド(PB)の開発力で、他社を引き離している。愛知発祥のスギ薬局は、薬剤師の資格を持つ正社員数が業界トップクラス。管理栄養士の採用も増やしていて、健康を維持するための相談機能を売りにしようとしている。

 同じドラッグストアの中でも「都市型」「郊外型」と名付け、立地ごとに並べる品に変化をつけるのは当然となっている。名古屋の中心市街地など若い女性や、海外からの旅行客の需要が見込める店では、化粧品や医薬品をしっかりそろえる。主婦やお年寄りが主力となる郊外の住宅地では、食品や日用品もふんだんに扱う、というようにだ。

 薬剤師や専門の販売員しか売れない医薬品を扱える。これがほかの小売業にない、ドラッグストアの強みだった。だが、この「武器」がいつまで持つのか。スーパーやコンビニ、ネットでも売れる薬の範囲を、国は徐々に緩めている。

 群雄割拠のドラッグストア業界。生き抜くために道を探る動きはますます活発になっていく。

 <ドラッグストアの特色> 大半の社は決算時に、健康・美容関連、日用品、食品、調剤といった分野ごとに分けて売上高を公表しており、その比率で各社の特徴が分かる。ゲンキーや九州発祥のコスモス薬品は食品で半分以上の売り上げを稼ぐ。都市型店が主力のマツモトキヨシは化粧品・医薬品の比率が7割。スギ薬局は食品が2割ほどで、美容や健康分野が4割を占める。

写真
 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索