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進撃のドラッグストア

(3)M&A 生き残りへ集約加速

PB商品も並ぶマツモトキヨシの化粧品売り場=名古屋市中区のマツモトキヨシテラッセ納屋橋店で

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 バズる。インターネット上で、一気に話題が広がることを指す若者言葉だ。商品やサービスなら、評判に評判を呼び、爆発的なヒットにつながる。ネットならではの口コミ力が、若い世代の新たな消費行動となっている。

 「保湿力がすごい」「神アイテム!」。こんなふうにバズったのが、マツモトキヨシ(マツキヨ)のリップクリーム「アルジェラン」。プライベートブランド(PB)のリップは、欲しくてもなかなか手に入らないほど売れた商品の一つだ。

 PBというと何となく、値段は安いけど品質はやや落ちる商品、という印象がないだろうか。ドラッグストアが近ごろ力を入れているPBの化粧品は違っていて、「お値打ちなのに品質が高い」。若い女性たちが、目当てに店に足を運ぶ看板商品になっている。

 メーカー側に共同開発を持ち掛ける上で、チェーンの店舗網が広く、売る力が大きければ大きいほど有利だ。「規模の論理」は、大手の商品を仕入れる際にももちろん有効。ほかの小売業の例に漏れず、ドラッグストア業界で企業の合併・買収(M&A)が相次いでいる理由だ。大手が競って地方の有力チェーンを味方に引き入れて全国展開を狙う構図は、天下統一を目指す「国盗(くにと)り合戦」のようだ。

 マツキヨが二十一年もの間守ってきた業界トップの座を、二〇一六年度に奪ったウエルシアホールディングス(HD)。今から五年前の売上高は半分にも満たない規模だった。関西や神奈川県の同業を取り込むことで急拡大を遂げた。

 同じく一六年度にマツキヨを抜いたツルハHDは、静岡県中西部に強い杏林(きょうりん)堂(浜松市)、愛知県内に六十七店を展開するB&D(愛知県春日井市)を相次いで買収。東海地方への進出を強めている。三位以下も売り上げ規模に大差がなく、どこかとどこかがくっつけば、コロッと勢力図が変わる混戦状態になっている。

 中小のドラッグストアにとっても、大手グループの傘下に入る利点は大きい。安くて、魅力ある商品をそろえて競争力を高める。大手のPBが展開でき、仕入れ価格も引き下げられる。

 もう一つは出店競争。他社は一定の地域に集中出店する「ドミナント戦略」で攻め込んでくる。陣地を守るには負けじと出店攻勢をかけなければならないが、最後は資金力がものを言うからだ。

 長く働きかけを断り続けてきたB&Dが買収に応じたのは、まさに生き残りを図るため。正木明子役員室長(51)は「気付けば他社に店が囲まれ、焦りがあった」。

 市場が急拡大する中で、規模の論理を求めて、大手グループに集約が進む。これはどこかで見た構図。コンビニがたどってきた歴史と重なる。地場の店舗がどんどん吸収されていき、今ではセブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンの三社にまとまった。

 ドラッグストア業界も、将来生き残るのは大手二、三グループでは、との予想がある。どの企業が覇権を握るのだろう。

 <バズる> ツイッターやインスタグラムといった会員制交流サイト(SNS)で、特定の単語や話題が一気に広がる現象を指す。ハチがぶんぶんとうるさい状態を例えた英語の「Buzz(バズ)」が語源とされる。口コミによる販売戦略にも組み込まれつつあり、批判が拡散する「炎上」と違って前向きな意味で使われることが多い。

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